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高原に130基の風車を展開、「イノベーション・コースト構想」が前進

スマートジャパン 7月14日(木)13時25分配信

 福島県内には風況に恵まれた地域が2カ所に広がっている。1カ所は県の中央を南北に走る奥羽山脈、もう1カ所は太平洋沿岸に近い阿武隈(あぶくま)山地だ。阿武隈山地の周辺一帯は放射能汚染による避難指示区域が多く、復興に向けた取り組みが懸命に続いている。

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 復興計画の一環で、太平洋沿岸に新しい産業を発展させる「福島イノベーション・コースト構想」が2014年に始まった。国が福島県内の自治体と連携して、エネルギーとロボットを中核に先端技術を生かした産業を創出する狙いだ。エネルギーの分野で注力するのは2つの風力発電プロジェクトで、福島沖に展開中の浮体式による洋上風力と、阿武隈・浜通りエリアで計画中の陸上風力である。

 阿武隈地域の陸上風力は福島県と3社の発電事業者が共同で2016年2月に環境影響評価の手続きに入った。これと並行して県が発電事業者の公募を実施して、7月8日に福島復興風力とエコ・パワーの2社を仮事業者に選定した。今後は両社が福島県などから環境影響評価のプロセスを引き継いで計画を進めていく。

完成すれば15万世帯分の電力を供給

 風力発電事業の想定区域は南北に約45キロメートル、東西に約12キロメートルの広い範囲に及ぶ。この区域の中で福島復興風力は西側の葛尾村(かつらおむら)から川内村(かわうちむら)にかけて連なる尾根の上に、合計で80基の風車を設置する計画だ。1基あたりの発電能力は2500kW(キロワット)を見込んでいて、全体で20万kWに達する。

 一方のエコ・パワーは想定区域の南側に位置する、いわき市・広野町(ひろのまち)・楢葉町(ならはまち)の境界付近を対象にする。1基で2000kWの風車50基を設置して、10万kWの発電能力を予定している。

 2カ所の風力発電所が計画どおりに運転を開始すると、合わせて30万kWになる。年間の発電量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して約15万世帯分にのぼる見通しだ。福島県の総世帯数74万のうち2割をカバーできる。

 ただし風力発電の環境影響評価には3年程度かかる。その後に建設に着手して完成するまでに2年以上は必要で、実際に運転を開始できるのは2021年以降になる。福島県は2社の仮事業者の計画が具体的に固まった時点で正式に事業者を選定する方針だが、特に問題が生じなければ同じ事業者を選ぶ可能性が大きい。

 風況に恵まれた阿武隈地域では、現在までに大規模な風力発電所が2カ所で稼働している。いわき市と田村市にまたがる高原地帯には「滝根小白井(たきねおじろい)ウインドファーム」(2000kW×23基)が2010年12月から運転中だ。田村市と川内村に連なる桧山(ひやま)高原でも震災直前の2011年2月に「桧山高原風力発電所」(2000kW×14基)が運転を開始している。

最終更新:7月14日(木)13時25分

スマートジャパン