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新型「セレナ」の自動運転システム、テスラとは一味違う?

MONOist 7月14日(木)6時25分配信

 日産自動車は2016年7月13日、同年8月下旬に発売予定の新型「セレナ」に自動運転技術「プロパイロット」を搭載すると発表。同日マスコミ向けにプロパイロットの技術説明会を開催した。

【「プロパイロット」を搭載する新型「セレナ」の外観などその他の画像】

 2015年10月の東京モーターショーで同社が自動運転技術のコンセプトEV「Nissan IDS Concept(ニッサンIDSコンセプト)」を発表。その壇上で同社の社長兼CEO カルロス・ゴーン氏は「2016年末には混雑した高速道路上で安全な自動運転を可能にする技術『パイロットドライブ1.0』を世界に先駆けて日本市場に投入する」と同社の自動運転技術普及のマイルストーンを示していた。今回のプロパイロットは2016年末としていた当初の投入計画から前倒ししたかたちとなる。

 段階的に自動運転技術を市場に投入していき、最終的には2020年までに高速道路と市街地を運転できる自動運転車を商品化するとアナウンスしている同社。今回のプロパイロットはその第1弾で「高速道路(自動車専用道路)の単一車線での自動運転技術」となる。

 渋滞走行と長時間の巡航走行の2つのシーンで、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動的に制御。「渋滞時のハンドル、アクセル、ブレーキ全ての自動化は、日本の自動車メーカーでは初の技術」(同社)だという。

 画像処理システム搭載の単眼カメラをフロントガラス中央上部に装備し、前方車両や道路上の白線を瞬時に三次元的に把握、その情報を基にアクセル、ブレーキ、ステアリングの制御を行う。

 システム作動時は、ドライバーが設定した車速(時速約30~100km)内で、先行車両との車間距離を一定に保つよう制御する他、車線中央を走行するようにステアリング操作を支援する(時速約50km以下では先行車が存在する場合のみステアリング制御が作動)。

 プロパイロットの起動や設定は、ドライバー手元のステアリングスイッチ操作で簡単に行える他、システム状態を分かりやすく表示する7インチの専用ディスプレイを採用。「インタフェースは運転感覚に合うよう、使いやすさにこだわっている」(同社)。

 プロパイロットの機能は以下の通り。

車速・車間

・前に車がいない場合は「スピード維持」――アクセルを自動でコントロールし、ドライバーが設定した車速で走行
・前に車がいる場合は「追従・停止」「停止保持」――先行車との距離を保つよう自動でアクセルとブレーキをコントロール。渋滞中に止まっても停止保持機能で負担が軽減され、ボタン1つで再発進可能

ステアリング

・両側に白線がある場合は「ステアリング制御(全車速域)」――直線やコーナーで車線の中央付近を維持して走行するステアリング支援で、渋滞中の負担軽減と高速走行での安心感を実現

先行車両が停車した場合

・システムが自動的にブレーキをかけて停車
・車両が完全に停止した場合、ドライバーはブレーキを踏むことなく、停止状態を保持
・先行車両が発進した際は、ドライバーがレジュームスイッチを押すかアクセルペダルを軽く踏むだけで追従走行を再開

 また同社では「“高速道路”での自動運転技術である」とアナウンスしているが、車両が高速道路上にあるかをシステムで検知しているわけではない。一般道でも道路の両側に白線が引かれていればプロパイロットのステアリング制御は作動するという。

 オートバイでも自動車と同じように先行車両として認識し、車速や車間の制御を行う。「オートバイが白線ぎりぎりを走っているようなケースでは認識できない場合もあるため注意が必要。取扱説明書などで注意喚起する予定」(同社)。

●「やっちゃえ日産」と手を離したらステアリング制御はオフに

 Tesla Motors(テスラ)の自動運転システム搭載車での事故で、自動運転での安全性に注目が集まっている。日産自動車の副社長で製品開発担当の坂本秀行氏は、今回のプロパイロットが同社の「クルマが人を守る」という考え方――セーフティ・シールドコンセプトに基づくものだとし「事故の原因の9割以上はドライバーが原因によるもの。日産の自動運転は、この数字を減らしていくための技術」と強調する。

 もっとも「自動運転」とうたってはいるが、今回のプロパイロットの技術は正確には「運転支援」だ。ドライバーがステアリングを握っているどうかはステアリングにかかるトルクをシステムが常時センシングして判断しており、ドライバーが手を離すと即座に警告が流れる。それを無視して手を離し続けると、ステアリング制御はオフになるという。

 気になるプロパイロット搭載車の価格だが、同社副社長で日本・アジア事業および品質担当の中村公泰氏は「できだけ多くのお客さまにこの技術を使ってもらいたいので、300万円を切る戦略的な価格設定を計画している」と、自動運転技術の普及に向け意欲的だ。

 プロパイロットはセレナ搭載を皮切りに同社の主要モデルへも順次投入していくという。また、2017年には欧州でSUV「キャシュカイ」に搭載するほか、米国や中国へも順次導入していく予定。

 さらに2018年には高速道路での車線変更を自動的に行う「複数レーンでの自動運転技術」を市場に投入。交差点を含む一般道での自動運転技術は2020年までに商品化する予定だという。

最終更新:7月14日(木)6時25分

MONOist