ここから本文です

熊本地震の地すべり原因、新潟大・琉球大が解明 土壌解析で危険性探る

日刊工業新聞電子版 7月14日(木)8時0分配信

土層に特殊構造

 熊本県や大分県の広い範囲に被害をもたらした熊本地震の発生から、14日で3カ月がたつ。余震の回数は減っているものの、今後は地震により弱った地面への豪雨によって新たな土砂災害が発生する恐れがあり、備えが必要だ。大学などの研究機関では、熊本地震で発生した地すべりを防災に生かすための研究が進んでいる。(福沢尚季)

 地すべりとは、山などの斜面の土や砂の一部または全部が、地下水と重力によってゆっくりと斜面の下方に移動する現象。一般的に移動する土の塊が大きいため、甚大な被害を引き起こす。熊本地震の発生後、熊本県南阿蘇村では地すべりによって阿蘇大橋が崩落するなど、大きな被害が発生した。

 新潟大学災害・復興科学研究所の福岡浩教授は、地すべりが発生した熊本県南阿蘇村高野台地区の土が水を含みやすく、雨が降ると地盤が弱くなりやすいことを明らかにした。同地区の地すべりが発生した場所から土を採取し土質試験を実施した。地下水が豊富な土層内のすべり面で、地すべりが生じる過程を再現。土が水を含む割合が高い特殊な構造をしていることを突き止めた。

■粘土鉱物包含
 さらに福岡教授は、阿蘇大橋地区と高野台地区で地すべりによって堆積した土から火山灰質の土砂を採取。X線回折試験によって、両地区の土砂には地震が発生した際に地すべりを引き起こす原因の一つと考えられる粘土鉱物「ハロイサイト」が多く含まれていることを突き止めた。ハロイサイトは火山灰などの風化によって生成され、水を含みやすい。

 一方、琉球大学農学部地域農業工学科の中村真也教授は、熊本県南阿蘇村高野台地区と同火の鳥地区で、地すべりによって崩れた土の強度を解析した。今後、斜面に残った土を採取し、強度を調べる考えだ。

■土の強度に差
 土の強度の差を調べることで、崩れずに斜面へ残っている土が軟らかくなり、地すべりが発生する危険性が分かる可能性がある。中村教授は「二次災害の防止や、地すべりの発生メカニズムの解明につなげたい」と話す。

 日本では毎年、梅雨や台風などの豪雨によって全国各地で地すべりが発生している。被害を最小限に抑えるための研究の進展により、防災対策の強化に役立つことが期待される。

最終更新:7月14日(木)8時0分

日刊工業新聞電子版

豊洲へなぜ市場移転 経緯と課題

築地から市場が移転される豊洲で、都が土壌汚染対策をしていなかったことが発覚。そもそもなぜ豊洲に移転するのか、経緯と課題を知る。