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<高校野球>兄が主将の岩槻商、妹も入部…同じユニホーム、最後の夏/埼玉大会

埼玉新聞 7月14日(木)7時0分配信

 「野球をしている兄が好きです」―。13日に埼玉県のさいたま市営大宮球場で行われた岩槻商―羽生一の2回戦。一塁側スタンドでは岩槻商野球部の女子部員・丸山七海さん(16)が真剣なまなざしでグラウンドを見つめていた。その視線の先には、主将として懸命にチームを鼓舞する七海さんの兄・一斗さん(17)の姿があった。結果は羽生一に0―8の七回コールド負け。試合後、七海さんは「もっと兄と一緒に戦いたかった」と涙を流した。

 2人は小学校時代、同じ少年野球チームに所属。「兄が始めるなら」と七海さんも入団を決めた。中学時代はそれぞれ別のクラブに入り、一緒に野球をする機会はなくなった。そんな2人が再び同じグラウンドに立ったのは今年4月。兄が主将を務める同校野球部に七海さんが入部を決めたことがきっかけだ。

 「高校でまた一緒にプレーしたかった」と七海さん。太田監督は入部前に「兄の存在が気になるのならやめたほうがいい」と忠告したが、「全く気にならない」と返答があった。小学校以来、家での会話はほとんどないというきょうだい。そんな2人を支える両親は「同じユニホームを着て戦う2人の姿を見ることができて、これ以上の親孝行はない」と笑顔で話した。

 一方、一斗さんは妹の入部を「情けない姿を見せられないと思って、気合が入った。照れくささを感じる余裕はなかった」と振り返る。

 たとえきょうだいでも練習中は仲間であり、先輩後輩。太田監督は練習中の一斗さんを「他の部員と同等に接し、きちんと指導している」と話す。最後の夏が終わり、引退する一斗さん。「最後にチームの思いがひとつになった。妹には周りに『女には負けられない』と思わせる選手になってほしい」と涙を拭う。そんな一斗さんを七海さんは「野球と真剣に向き合っている」と尊敬している。

 「ミスしてもすぐに声を出して全力でプレーできる選手になりたい」。兄の思いを受け継いだ七海さんの戦いはこれから始まる。

最終更新:7月14日(木)7時0分

埼玉新聞

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