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ヒトラーのコメディ化、なぜ進む? タブーへの挑戦、風刺を込めて

BuzzFeed Japan 7/14(木) 12:36配信

先月、映画「帰ってきたヒトラー」が公開された。ヒトラーが現代にタイムスリップし、モノマネ芸人としてスターになるまでを描いたコメディ作品だ。

これに限らず昨今、「イングロリアス・バスターズ」や「アイアン・スカイ」、「ヒトラー最終兵器」など、ヒトラーまたはナチスを題材にしたコメディ作が多く登場するようになった。【BuzzFeed Japan / 播磨谷拓巳、中野満美子】

第二次大戦を引き起こし、ユダヤ人迫害により600万を超える命を奪った「史上最凶の独裁者」ともいわれるアドルフ・ヒトラー。彼が”お笑い要素”として使われるようになったのは、なにか背景があるだろうか。

BuzzFeedは、日本大学芸術学部映画学科教授で映画評論家の村山匡一郎さんに聞いた。

村山さんはまず、映画の作り手の世代交代を理由として挙げる。

「たしかに60年代まではヒトラー、ナチスを題材にした作品は多くありませんでした。ナチス時代をリアルタイムで生きてきた人々からの反発を考慮したのでしょう。あったとしても、『ヒトラーは悪』と描かれたものが多数でした」

「しかし、戦後70年以上が経過。映画に限らず、舞台や音楽などでヒトラー、ナチスが表現のひとつとして登場するようになりました。それらは80年代にデビューした作り手によるものです。その世代はヒトラー、ナチスは知っているが、当時を生きてはいない。なんとなくタブーとされていたものに、若い作り手たちが挑戦しているのでしょう。『もう自由にイジっていいだろう』と」

また、ヒトラーにはドイツ国民の心情に訴えるものが何かしらあると続ける。

「ドイツ国民は、ヒトラー個人とナチスが行ったことは別と捉えていると思う。投票で決められ、人気があったからこそ、ヒトラーはあの地位まで上り詰めた。戦争犯罪を起こしたのも事実ですが、それを突き詰めていくと、ヒトラーを持ち上げた国民に帰ってきます」

「ヒトラーがいなかったらドイツはどうなっていたか。それを考えたら、肯定はできないし、否定もできない。そんなドイツ国民のモヤっとした部分を風刺するのに、コメディは適した表現方法です」

これら作品では、作り手側の主張を一切出さず、「ヒトラーは正義か悪か」の答えは出さない。「どう捉えるか国民に問うている」と村山さん。

「帰ってきたヒトラー」ではタイムスリップしたヒトラーが現代の街を歩くシーンがある。それを見て喜ぶ人もいれば、嫌がる人もいる。視覚的風刺だ。

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最終更新:7/14(木) 12:36

BuzzFeed Japan

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