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「少年自衛隊」、電話ボックスの自由時間 集団生活・訓練・家族…

withnews 7月16日(土)7時0分配信

 日本でただひとつ、15~19歳の少年たちが中学卒業後、自衛隊員として訓練をうける全寮制の学校が横須賀にあります。厳しい訓練と10代の日常。「役に立つ人になりたい」と入隊の理由を語る一方に、「家族を思い出して……」と寂しさに涙ぐむ場面にも出会いました。安保法が施行されて自衛隊の役割が大きく変わろうとしているいま、1年にわたった取材の記録を届けます。(朝日新聞映像報道部記者・川村直子)

【写真】「手当は母のために…」最年少の自衛官 陸上自衛隊高等工科学校の日常

テレホンカードを握りしめ

 夜になると、校舎脇に並ぶ公衆電話に、少年たちが集います。外の世界とつながる、わずかな時間。秋田市から来たばかりの新入生が、母に電話をかけようと、テレホンカードを握りしめていました。

 日本で唯一、中学校卒業直後の少年たちが自衛隊の訓練を受ける、陸上自衛隊高等工科学校(神奈川県横須賀市)で、2014年の4月から15年の5月にかけて、取材しました。

 彼らは学校の生徒であり、最年少の自衛隊員です。技術系の専門教育や、普通科高校と同等の授業もあり、高卒資格を得られます。学費は無料。生徒には手取りで月約8万円の手当が支給されます。卒業後はさらに1年間の教育訓練を経て、ほとんどが3等陸曹になります。

階段を駆け下り電話ボックスへ

 朝6時起床、夜10時半就寝の全寮制で、8人ほどの相部屋で生活する新入生は、2年生に進級して5月の大型連休が明ける頃まで、携帯電話を持つことができません。

 夜、1日のなかで50分だけ、自由に使い方を任される「自主管理時間」になると、洗濯やアイロンがけ、靴磨きの合間を縫って、階段を駆け下り電話ボックスへ向かいます。

 不慣れな集団生活の中で、ほんのわずかな、ひとりになれる時間であり、外の世界とつながる時間です。大切なひとときを邪魔しないよう、私は少し離れてシャッターを切りました。

たくさんの人に関心を持ってほしい

 取材を始めたのは、集団的自衛権の行使容認が14年7月に閣議決定されて、強い違和感を覚えたからでした。

 この自衛権が発動されることがあれば、現場に立つのは誰かって考えたら、子どもたちや、その次の世代かもしれない。いま、ひとりの大人として、安保法施行までの過程を黙って見てていいの、って考えました。

 今年7月の参院選で、多くの人が重視した政策は医療や年金などの社会保障だったように、安全保障に対する関心って、どうしても低い。たったいま、の暮らしを左右するものじゃないから、かもしれません。でも大事な問題です。たくさんの人に関心を持ってほしい、と思いました。

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最終更新:7月16日(土)7時0分

withnews