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【リオ五輪】山下泰裕氏 柔道復権へ自信「斉藤仁さんの形見で金メダル量産」

東スポWeb 7月15日(金)10時0分配信

 リオデジャネイロ五輪で全日本柔道連盟の山下泰裕副会長(59)は日本選手団副団長としてチームジャパンをまとめる。目標は前回ロンドン五輪の2倍となる14個の金メダル。その核となるのはロンドンで金メダル1個と惨敗した柔道競技だ。本紙の単独インタビューに答えた山下氏は、ロサンゼルス&ソウル五輪95キロ超級金メダリストで盟友の故斉藤仁さん(享年54)の遺品を身につけることを明かし、お家芸復活に自信をみなぎらせた。

 ――日本選手団副団長としてリオを迎える

 山下氏:JOC(日本オリンピック委員会)の本部役員として参加するのは今回が初めて。どこまで役割を果たせるか分からない部分はあるけど、選手が自分の夢に思い切りチャレンジできる環境をつくっていければと思います。また、橋本聖子団長をしっかりサポートしていきたい。

 ――メダル目標は

 山下:目標は金メダル14個。前回のロンドンの2倍。過去のケースから言うと、かなり高いハードルと思います。ただ、我々は十分到達できると思っている。日本国民に夢や感動、希望、誇りを感じてもらえるような戦いをしていきたい。

 ――治安やジカ熱など懸念されている

 山下:昨年12月に各競技団体の役員70人を連れてリオの視察に行ってきました。着いた日の午後から日本総領事館でレクチャーがあり、DVDを見せられた。真っ昼間、リオの大通りで強盗が行われている。一人が通行人に寄って行くわけ。それでピストルを突きつけた。通行人は胸からお金を取って渡してスッと別れていく。すごいリアルで、あれでみんな引き締まった。ジカ熱も含めて選手が安心して試合に集中できる環境を心がけたい。

 ――柔道の仕上がりはどうか

 山下:絶対的な階級はないけど、どの階級でも金メダルを狙えるチャンスがある。「柔道頼みます」って言われたら「任せてください」と。ネガティブな言葉は出てこないね。一番の希望を言うと、代表の14人全員にメダルを取らせたい。もし14個メダルを取ったら、おのずと金メダルはついてくる。日本選手団総監督の高田(裕司=日本レスリング協会専務理事)さんは「柔道で3個期待してる」って言う。「少ないんじゃないの」って思いましたね。井上(康生)監督も南條(充寿)監督もロンドンの屈辱を決して忘れちゃいけない思いでやってきている。

 ――昨年3月に斉藤仁さんから強化委員長を引き継いだ

 山下:男女とも強化はうまくいっているという思いからどちらかというと委員長としてあまりリーダーシップを発揮しないで、遠目に見守るような感じでいた。ただ、今年に入ってから、斉藤先生の影が脳裏にちらついて「先輩、頼みますよ。ちゃんとしっかり私の代行を務めてくださいよ」って言われるような気がしてならない。私の中での強化委員長としての役回りがだんだん大きくなってきている。

 ――東海大副学長など複数の役職も抱える

 山下:いろんな問題があるかもしれないけど、この4年間の総決算。斉藤仁から受け継いだ役割はしっかり責任を果たしていくっていうのが、今、私にとっては一番大きい部分だよね。実は4月に代表が全部決まった後、大阪の自宅にお邪魔して斉藤先生の仏前でその報告をしてきた。そしたら奥さんからジン(仁)ちゃんが愛用していたネクタイを2本もらって、「先生、よかったらこれ、リオに一緒に持っていっていただけませんか?」って言われた。柔道会場に行く時はそれを締めていく。JOCの規定のネクタイがあるかもしれないけど、柔道会場だけはそれで行きます。そのネクタイを締めただけで、斉藤仁とともに戦うっていう気持ちが強くなっていく。そして彼の魂が日本の選手を見守ってくれると思っている。

 ――ニッポン柔道復活の手応えは

 山下:すでに世界では「いい加減にしろ」っていう雰囲気が出ています。いくつメダルを取る気だと。ただ、世界選手権と五輪は違う。世界チャンピオンが五輪に勝てなかった例はいっぱいある。ちょっとの油断も緩みもなく緊張感を持ってリオに向かっていきたい。

☆やました・やすひろ=1957年6月1日生まれ。熊本県出身。84年ロサンゼルス五輪無差別級で金メダルを獲得。同年、国民栄誉賞受賞。77年から全日本選手権9連覇。85年、外国人には生涯無敗のまま203連勝で現役を引退した。2013年8月、全日本柔道連盟副会長に就任。東海大学副学長、日本オリンピック委員会(JOC)理事、国際柔道連盟(IJF)理事、味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)センター長。180センチ、128キロ。

最終更新:7月15日(金)10時17分

東スポWeb