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JPモルガン賃金18%引き上げ 職業訓練にも547億円投資

ZUU online 7/15(金) 18:10配信

JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOは7月12日、米国で雇用している従業員、1万8000人の給与を18%引きあげる意向を、米ニューヨーク・タイムズ紙上で明らかにした。

米国では近年、低所得層が増加傾向にあり、貧富の差がますます拡大されている。ダイモンCEOは今後3年間にわたり、現在の基本給、1時間10.15ドル(約1057円)を12ドルから16.50ドル(約1250円から1718円)まで上昇させ、雇用環境を改善することで、従業員の生活にゆとりをもたらすと同時に、より多くの優秀な人材確保を狙っている。

■全米で広がる賃金引き上げの動き

同様の動きは、米国全土にわたって広がりを見せている。ここ数年ですでに米国の約半数の企業や機関が、最低賃金の引き上げに成功。ウォールマート、マクドナルド、IKEA、Facebookといった大企業から、カリフォルニア州やニューヨーク州などの各自治体までが、今後数年以内に賃金の引き上げを計画している。

一例をあげると、カリフォルニア州は今後5年以内に最低賃金を15ドル(約1562円)、スターバックスは給与を5%引き上げる意向を発表するなど、米国のあちらこちらで大規模な賃金改革を実施中だ。

世界的に拡大する貧富の差は経済大国米国でも深刻化しつつあり、所得引き上げが労働環境を改善し、人材育成、確保は勿論、消費刺激と経済発展に役立つと期待されている。

JPモルガンは米最低賃金より3ドル(約312円)増しを自社の基本給として設定しているが、さらなる引き上げによって従業員の生活に潤いをもたらすことが、「我が社にとって、長期的には素晴らしい投資となる」とダイモンCEOは確信している。

米Pewリサーチのデータによると、1971年には過半数を超えていた米国の中間層(61%)は年々減少。昨年には50%まで落ちこんだ。

対照的に高所得層と低所得層に増加が見られ、多くのほかの国同様、貧富の格差が拡大傾向にある。Pewリサーチの調査では、中間層を年収4万2000ドルから12万6000ドル(約442万5100円から1308万2496円)の3人家族と設定している。

こうした背景には、熟練技術者への高い需要や、今なお根強く残る学歴主義の支配力がうかがわれる。低技術者、低学歴者は、生活を支えるにも不十分な賃金で労働せざるを得ないという、過酷な環境だ。

その一方で、高所得層の生活はますます潤っており、過去44年間で4%増えた低所得層よりも多い、5%の増加を記録している。

■資格なしでも高収入を生みだすチャンスを

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が実施した世論調査では、回答者の47%が所得不均衡に対する政府の取り組みを要請している。

利上げ直前までは順調に雇用率を伸ばしていた米国。しかし年末以降は急激に鈍化し、今年4月の雇用統計では前月から横ばいの5%にとどまった。5月に入って4.7%に改善されたものの、能力や技術をもった人材が増えているというわけではない。

2008年の金融危機以降、多くの企業が職業訓練や能力開発への投資削減に走り、求人応募者間での技術や資格の格差が広がっているという。

こうした現状の打開策として、JPモルガンは過去5年にわたり、個人向け銀行業務に携わる職業訓練プログラムを支援している。

今年は新たに2億ドル(約208億2400万円)を新入社員の教育に、3億2500万ドル(約338億3900万円)をキャリア重視型教育に投じる予定だ。

職業訓練への投資は過去5年間で40%の従業員を、より高収入なポジションへと押し上げることに成功している。バカロレアなどの資格を取得していなくても、高収入に得れるチャンスを可能な限り数多く創出できるという点で、非常に有益だ。

ダイモンCEOは「試練は耐えることがない」と認める一方で、「政府、企業、非営利セクターが力を合わせて問題に取り組むことで、ともに前進することが可能なはずだ」と、今後も意欲的に経済発展につながる前例を築いていく構えだ。(ZUU online 編集部)

最終更新:7/15(金) 18:10

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