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クルマのスマートキーは今後どのように賢くなるのか

MONOist 7月15日(金)8時25分配信

 Continental(コンチネンタル)は2016年7月12日、横浜市内で記者説明会を開き、Bluetooth Low Energyとスマートフォンを活用した次世代のクルマの鍵について紹介した。ドライバーが乗車しようとして歩いてくるのを識別して解錠したり、ドライバーが誰であるかを認識して乗り込む前にシートの位置やエアコンの設定を自動で行ったりできる鍵を研究している。また、カーシェア向けにスマートフォンがそのままクルマの鍵になる技術も2016年末に向けて開発中だ。

【ブレスレット型のスマートキーなどその他の画像】

 コンチネンタル インテリア部門 ボディ&セキュリティ事業部 エグゼクティブバイスプレジデントのアンドレアス・ヴォルフ氏は「クラシックな鍵は絶滅しない。さまざまな形の鍵を選択する自由を提供することで、ドライバーの利便性を向上していく」と語る。

●鍵のサプライヤ、コンチネンタル

 クルマの鍵に関連した無線通信技術で、コンチネンタルは20年以上の納入実績を持つ。1994年にイモビライザーを発表、1998年からキーレススタート/エントリーシステム「PASE(Passive Start and Entry)」を提供している。2007年にはRF信号の双方向通信システムを製品化した。2013年にはより長距離の通信にも対応した。

 PASEは次のように動作する。まず、認証されたRF信号を発信できるスマートキーが車両のLFアンテナがカバーする範囲に入ると、車両とスマートキーのコミュニケーションが可能になる。スマートキーが認証された後、ドライバーがドアハンドルに触れるとドアが解錠される。また、そのスマートキーが車内にあることを認証すると、ドライバーはスタートボタンでエンジンを始動できる。

●2018年のスマートキーは、あなたの歩き方でクルマに乗るのか判断する

 現在、量産中のPASEは第4世代にあたる。PASEは2018年を目標に第5世代に移行する。第5世代でも、従来のようにRF/LF信号の通信に対応したスマートキーを持ち歩く必要があるが、機能が発展する。例えば、ドライバーが身に付けた鍵が車両に一定距離まで接近したのを認識するとウェルカムライトを点灯させ、駐車場で自分の車両を見つけやすくする。

 さらに、ウェルカムライトの点灯範囲よりも接近すると解錠し、シートやサイドミラーの位置、エアコンの設定などをドライバーに合わせて調整し、乗車する瞬間には全て準備が整った状態にしておく。車両の後方に近づいた場合は自動でトランクを開けるなど、ドアの制御も行う。

 この時、ドライバーが身に付けた鍵がどのように接近するかによって解錠の可否を判断する。ただ車両の側を通り過ぎた場合や、車両に近づくと見せかけて離れて行った場合は施錠したままで、ドアの前で止まった場合にのみ解錠する。

 ドライバーがクルマを降りた後は、鍵が車両から離れていくと自動で施錠する。

 コンチネンタルはこれらを従来のスマートキーの延長である“クラシックアクセス”と位置付けている。

 今後は、クルマとスマートデバイスの通信の仲立ちとしてスマートキーを扱う“トレンドアクセス”や、スマートデバイスがBluetoothやNFC(近距離無線通信)によって直接クルマと通信する“スマートアクセス”で、クルマの鍵の多様化を図る。

●スマートキーが仲立ちになると何ができる?

 “トレンドアクセス”では、ドライバーはスマートフォンやスマートウォッチの画面から解錠/施錠を操作したり、燃料の残量やタイヤの空気圧を確認したりすることが可能になる。

 ドライバーがクルマの鍵として触れるのはスマートフォンやスマートウォッチになるが、ゲートウェイとして従来のようにクルマ専用の鍵がなんらかの形で残る。つまり、自動車メーカーは車両にとって既知で信頼性が担保された技術であるRF/LF信号の通信を用いながら、クルマの鍵のバリエーションを増やすことができる。

 スマートデバイス以外の多様な鍵の形として、会見ではカードキーやブレスレット型の鍵を紹介した。

 「カードキーで言えば、ICカードをスマートフォンのケースに入れて交通機関の改札を通るのと似たイメージだ。カードはバッテリーを必要としない。ブレスレット型にすればレジャーなどで荷物から鍵を取り出す煩わしさがなくなる。とても小さなサイズのチップで実現可能なので、ブレスレットのデザインは問わないし、防水加工もできる」(コンチネンタルの技術者)。

●仮想キーだけで完結させる“スマートアクセス”

 “スマートアクセス”では、ゲートウェイキーを介さずにスマートフォンが鍵の役割を果たす。暗号化と偽造防止対策が施された仮想キーを受信したスマートフォンで、PASEと同様の機能を実現する。

 仮想キーの配信は、コンチネンタルとベルギーのD'leterenの合弁会社、OTA keysが手掛ける仮想キー管理ソリューションを通じて行う。仮想キーはスマートフォンのSIMカードに保存され、必要なクルマのみに使用できるようアクセス権限が含まれている。

 車両と仮想キーを持ったスマートフォンは、低消費電力のBluetooth Low Energyで接続する。会見当日は、Bluetooth Low Energyを受信するアンテナを装着したデモ車両を用い、スマートフォンの仮想キーでPASEの第5世代と同じ機能を実現する様子を公開した。

 車両の半径2m以内にスマートフォンの仮想キーを持ったドライバーが進入すると、解錠などをスマートフォンで操作できる。

 現時点では、Bluetooth Low Energyのアンテナを3つ以上装着することで、鍵を持ったドライバーの移動に合わせて解錠/施錠することが可能だとしている。

 OTA keysの仮想キー管理ソリューションは、カーシェアやレンタカーで予約から乗車、課金までの手続きを行うシステムとしても開発が進められている。カーシェアの車両向けには、OBDコネクタに接続してCANデータを取得する通信モジュールも開発している。GPSで受信した位置情報や、燃料の残量、走行距離などをカーシェアユーザーが使う前に把握できるようにするもので、3G回線に接続して情報を送信する。

●物理的な鍵はなくなる?

 ヴォルフ氏は、クラシックな物理的な鍵がなくなるのかという質問に対し、絶滅はしないと答えた。「われわれは納車の時にクルマの鍵を受け取るのを喜ぶように、クルマと鍵の関連は深い。今後10年で新しい形の鍵が出てくるが、古い形も生き残り続ける。さまざまな形態の鍵があることで利便性が向上すると考えている」(同氏)と説明した。

最終更新:7月15日(金)8時25分

MONOist

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