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妻の実家でOmoidoriした空白の18年と失われた色

ITmedia ニュース 7月15日(金)7時48分配信

 妻の命日に家に来た義母にOmoidoriを見せて、まだ見ていないアルバムがあったら撮影させてほしいとお願いした。

【Photoshopでレタッチしている画像】

 3年前、義母がアルバムを1つ持ってきてくれて、それをScanSnapの古いモデルでスキャンしたものが結構な枚数あって、それらの写真を修復したり、カラー化したりしていた。妻が実家から持ち出した写真はOmoidoriであらかたスキャンし直した。

●捨てようと思ってたのよ

 義母によれば、場所は探さないとわからないけど、古いアルバムが何冊もあるという。さっそく、妻の実家のある志木市に飛んだ。いや、たいした距離じゃない。実際にはバスと電車を乗り継いで1時間ちょいで行ける。

 ただ、心理的な距離は相当遠いので、孫を手土産に訪問することにした。ぼくの作業が終わった頃に、息子と入れ替わる算段で。妻と一緒でない義実家訪問は記憶にある限り、初である。

 これから、ぼくと妻が出会うまでの、空白の18年間を見せてもらうのだと考えるとちょっと緊張する。

 義実家に到着すると、古いアルバムから比較的新しめのものまで、4冊がテーブルの上に置かれていた。「ほかにも探せばあると思うんだけど」と義母。

 「ちょうど捨てようと思ってたのよ」

 そんな恐ろしいことを言う。急がねば。

 一番大きなアルバムは、義父が撮影し、コメントをつけた写真が収録されていた。最初のページは妻の出生証明書。日本赤十字社産院で、1963年1月16日の午後10時に生まれたとある。時間は初めて知った。次の誕生日からは夜にキャンドルをつけナイト。

●欄外コメント、取材でつながるリンク

 産湯につかった写真に始まるこのアルバムは、ほぼ時系列に、妻の成長を記録している。写真を見ていくと、妻が幼少時について話していたこと、義母がうっすらと記憶していることと、義父のキャプションから少しずつリンクが形成されていく。

 「わたし、実は渋谷生まれなの。日赤病院で生まれたのよ」と妻は得意げに言っていたが、その理由は「確実に、安心できるところで産みたかったから」と義母。ちゃんと愛情があるじゃないか。このアルバムには優しい眼差しで赤ん坊の妻を見ている写真も何枚かある。義母はいまは妻のことを、ときどき話しかけてくれる、神様みたいな存在と感じているらしい。

 アルバムを引き取って自宅でスキャンするのでなく、その場で撮影していくメリットはこういうところにある。疑問が生じたら、その当時を唯一記憶している義母に聞くことができるのだ。「この制服は幼稚園ですよね。渋谷幼稚園?」「うん、そうそう」と、このスモックの写真は幼稚園のときだということがわかる。この幼稚園には2年間通っていたというのもわかった。

 義父のキャプションはとても貴重で、日時や、生後2週間とか、100日とかアルバムの欄外に書かれている情報のおかげで多くの写真の撮影日や場所が特定できた。例えば、妻が遊んでいる2枚の写真が残されている美竹公園はいまもある。なんでもマイケル・ジョーダンが寄贈したバスケットボールコートがあるらしく、それはジョーダンコートって呼ばれている冗談みたいな話。「バスケ得意だった?」って妻に聞きたい。

 義母は「ちょっとした買い物をするのにも坂を上り下りしないといけなくて大変だった」と言ってたけど、妻の一家が住んでいた国鉄アパートのあった渋谷区美竹町3番地は、今では高層ビルになっている。

 寡黙だった義父は60歳で他界し、ほとんどその頃の話を聞けなかったのだが、アルバムを通して、娘に注いだ愛情が伝わってくる。妻からは東京オリンピックで肩車してもらって国立競技場を見たとか、青山通りを越えて銭湯に行ったとかを聞いていたが、本当にいろんなところに連れて行かれて、写真を撮られていたんだなってのもわかる。JRを早期退職後、渋谷の近く、青山墓地のちょっと先に個人事務所を構えたのは懐かしさもあったんだろうなと今になって思う。

 こういうキャプション、書き込みのあるアルバムってわりと多いんじゃないかな。Omoidoriの場合、自動トリミングにするとそうした情報が抜け落ちてしまうので、トリミングをオフにしなくちゃいけないのだが、いちいち設定画面に戻るのももどかしいので、撮影画面でオン・オフできるとうれしいのだけど。

 このときは、2時間で300枚の写真をOmoidoriしたのだが、フル充電してあったiPhone 5cはバッテリー残量が20%までになった。1枚の撮影につき必ず2回フラッシュを焚いているのだから、そりゃあなくなるの早いよね。まだアルバムはたくさん残っているけど、また来ればよいわけだし。

 今回、幼児期〜小学生の頃のカラー写真で見たことがないものが数十枚出てきたのだが、その多くは退色した、赤茶けた色になっていて、もともとがカラーであったことに気づかないレベルだった。こういうものは、場合によってはモノクロ写真カラー化サービス「siggraph2016_colorization」を使ったほうがいいのかもしれない。

 ちなみにこのサービス、カラー化するときのフレーバーというオプションがあるのに気づいた。

 city1、city2、sky1、architecture1、architecture2、night1、sunset1、sunset2というオプションがあり、大域特徴を別の画像からのものに置き換えるそうだ。これで色味が変わるので、変換されたイメージに不満がある場合にはいろいろ試してみるとよいだろう。

●Photoshopすげー

 そんな状況を打破すべく、MacとiOS向けに出ているPixelmatorというソフトが、レイヤーも使えてPhotoshopっぽくて、修復ツールとか一通り揃っているみたいなので使ってみることにした。肌色の部分を選択して新規レイヤーにし、背景部分と肌色の部分の色をそれぞれ調整するといった、非常に手間のかかることをやってみた。モノクロ写真をカラー化したり、うまくいくものもあるのだが、今回の退色カラー写真については、思い通りにいかない。

 ネットで検索したところ、退色した写真を修復するには、Photoshopがいいらしいということがわかった。Photoshopはだいぶ前のバージョンを持って入るのだが、ライセンスの移行とかが面倒なので、PhotoshopとLightroomが使える月々980円のフォトグラフィプランを導入し、Adobe CCに移行してみた。

 これが大正解で、こんなに簡単に色調整ができるのなら最初からやっておけばよかったと反省。

 1、2、3、4の4ステップで出来ちゃう。

1. 「色調補正を追加」から「レベル補正」アイコンを選んで調整レイヤーを追加

2. 左上のスポイトを選び、元画像の「黒いはずの部分」をクリックする

3. その下のスポイトで、元画像の「グレーなはずの部分」をクリック。これは黒髪でよいらしい

4. 一番下のスポイトで、元画像の「白いはずの部分」をクリックするのだが、これは白ソックスやブラウスでいける

 これだけで、本来の色をかなり取り戻せる。

 Photoshopすげー。さすがノール兄弟。ILMでスターウォーズ作ってただけのことはある。

 不足している色については、範囲を選択して別レイヤーにし、そこで色を調整していく。階調が不足しているためブロックノイズみたいになったところは、ぼかしツールでなめらかに。そんなことも試してみた。奥が深い。Photoshopは2.0、3.0、5.5、CS、Elementsといろいろ買ってきたけど、なにもわかっちゃいかなかったのだ。

 板橋駅の花壇の前でポーズをしている妻の背景には、不二家、八千代信用金庫の看板が見える。この当時の店舗や看板の色が分かれば、そこの色を追加することもできるだろう。いまのところまだ見つかっていないが、写り込んだものをヒントに日時を特定していく楽しみもある。

 色が鮮明になった思い出をフォトブックに仕立てて義母に見せれば、また何か新しいことがわかるかもしれない。そんな期待もある。

●旅の途中

 夢見た世界を求めて再開したPhotoshopの旅はまだ途中。その成果を背景に、また妻の歌声とデュエットしてみた。

 昨日、VufineというARライクなガジェットが届いた。メガネに装着して、HDMI接続したデバイスの映像を表示させるデバイスだ。ただ表示するだけなのでARとは言えないが、スマートフォンを操作することでそれに近い体験は得られる。ぼくはLightning-HDMIケーブルを使ってiPhone 6s Plusとつなげるつもりだ。

 発掘した写真、新たに作ったミュージックビデオを、妻がかつて住んでいたところ、一緒に歩いた思い出の場所とオーバーレイさせるセンチメンタルジャーニーに、このVufineを使ってみようと思っている。Pokemon GOでも試してみるけどね。

最終更新:7月15日(金)7時48分

ITmedia ニュース

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