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経済危機でユダヤ系ブラジル人のイスラエル移住が増加

MEGABRASIL 7月15日(金)8時42分配信

ビザ申請、2015年は2013年の倍に

世界有数の多民族国家・ブラジルは日本国外で最大の日本人コミュニティを有する。そしてそんなブラジルには、日本を含む東アジア系だけでなくヨーロッパ系、アフリカ系、アラブ系、インド系と様々な出自を持った人々が移民として定住し、共生している。ブラジル出身のスーパーモデルたちは様々な民族の血を受け継ぎ、その奇跡的なハイブリッド具合はファッション業界を魅了し続けている。

多民族国家を構成する民族グループの一つに「ユダヤ系」がある。古くは中世ヨーロッパでの魔女狩り時代にブラジル北東部に移住した世代から第二次世界大戦のホロコースト時代に故郷を追われブラジル南東部、主にサンパウロ州に移住した世代など、幅広い時代でブラジルはユダヤ系移民を受け入れてきている。

そのユダヤ系コミュニティに、経済危機が思わぬ変化を起こしているという。

ブラジル現地紙「オ・エスタード・ヂ・サンパウロ」電子版「エスタダゥン」が7月10日づけで伝えたところによると、ブラジルで経済危機が鮮明になって以降、イスラエルに移住するユダヤ系ブラジル人が急増しているという。

現地イスラエル領事館で申請された就学・就労ビザの数は3年前と比べて倍増した。サンパウロからの移住を補佐するユダヤ人協会によれば、2015年だけで500件の申請があり、これは2013年の倍に当たる。

ブラジル人がイスラエルに滞在するにはビザが必要で、申請後領事館の審査を経て、ビザが発給されれば渡航可能となる。

「イスラエルではユダヤ系の人には無条件に『帰国法』に定められた居住権が与えられます」(ユダヤ人協会代表、ヘヴィタウ・ポレギ氏)

イスラエルに移民したい人は自分がユダヤ系であることを示す、具体的にはユダヤ教会が発行する信者証明書を見せるだけで入国許可が出るという。この証明書が出せない場合はユダヤ式霊園に自分の親、祖父母が埋葬された記録で代用できる。

ポレギ氏によれば、文化的・宗教的・情緒的または職業上の理由でイスラエルに移民する人は常に存在していた。しかしながら近年、経済的な理由でパスポートやビザを申請する人の数が増えてきているという。移住者の動機は、ユダヤの民の国・イスラエルに住む夢をかなえることや娘息子に一流の教育を受けさせたいという親たちの思いなど様々だ。

「イスラエルの教育の質は高く、3歳から18歳まで無償で教育を受けられる。イスラエルの大学は公立・私立を問わず世界トップクラスです。しかも他国に比べ学費は格段に安いのです」(ポレギ氏)

子供たちはいつも家の近くで教育を受けられ、7~8歳ごろから一人で通学できるほど安全だという。

ユダヤ人協会は移住者に対しイスラエルで直面する現実についての情報を公開している。

「例えば、イスラエルにおいて生活様式は完全にユダヤ式となることを覚えておかなくてはならないでしょう。暦もユダヤ暦、スーパーマーケットで売っている商品などもユダヤ教の戒律にあわせたものとなります」(ポレギ氏)

例えばユダヤ教では土曜日が休みで、スーパーマーケットに並ぶのはコーシャ(ユダヤ教の教えに沿って調理・製造された品)のみ。ほかの食材、例えば豚肉などを買いたいときは別の店にいかないと買えない。

ユダヤ系ブラジル人は自覚をもって、自己の負担で移住することになる。一般的にはテルアビブにつくまで何度か飛行機を乗り換える。以前、イスラエルの航空会社エル・アルは2年間だけサンパウロ便を就航させたが、もうすでにこの路線は存在しない。

飛行機から降り立つ人はたいてい、ここイスラエルで生きるためにすべきことに思いを巡らせる。戸建て・マンションのどちらに住むか、仕事探し、健康保険への加入等々。食費・住居費が家計の中で支出割合が最も大きい分野だ。

政府は成人がヘブライ語を学ぶための語学学校の学費を5か月分負担する。イスラエルではアラビア語や英語よりもヘブライ語の優先順位が高い。道路標識も含め町で見かける言語はすべてヘブライ語で書かれている。イスラエルは移民国家なのでフランス語、ロシア語、東ヨーロッパ諸国言語なども話されるが、いずれもインフォーマルな空間のみで使われる。

「英語は学校で習いますが、生活空間ではヘブライ語が中心です」(ポレギ氏)

子供たちはというと、学校の同級生からヘブライ語を学んでいくことになる。

(文/余田庸子)

最終更新:7月15日(金)8時42分

MEGABRASIL

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。