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東芝、半導体メモリーの4-9月期営業利益は計画より上振れへ

ニュースイッチ 7月15日(金)7時22分配信

中国向けスマホ向けが好調、経営再建を大きなプラス材料に

 東芝の成毛康雄副社長は、半導体メモリー事業の2016年4―9月期業績について「当初計画の営業利益50億円から上振れる公算が大きい」との見通しを示した。中国でスマートフォンの大容量化が急激に進んでおり、販売が好調に推移する。同期の営業利益率は10%弱となる見通しで、これまでのメモリー事業の利益率に近づくことになる。今後、為替相場が安定し、過度に円高が進まなければ、通期業績も上振れる可能性がある。

 東芝は17年3月期のメモリー事業で、営業利益率3・3%を計画する。従来、同事業の営業利益率は約10―30%で推移してきた。しかし16年1―3月期のスマートフォン市場の鈍化や、15年後半からのNAND型フラッシュメモリーの売価下落を受け、通期計画を低めに想定していた。

 同社の半導体メモリーは5月中旬から、中国でのスマホ向け需要が鮮明になり、販売が増加。一部では価格上昇も起きており、業績を底上げする要因になる見込み。17年3月期については、最近の円高傾向による為替リスクがあるため保守的な見方を継続する。

 メモリー事業は市況の変動が激しいものの、これまでは一定の営業利益率を維持しており、構造改革を実施した16年3月期も営業利益率13%を達成している。

成毛副社長に聞く「分社化、具体的な検討はない」

 ―量産開始がサムスンから2年遅れました。
 「もちろんサムスンが先行している認識はある。ただ2年前は製造装置の能力が不足し、サムスンも設備をフル活用しても良品を作れないという壁を越えるのに時間がかかっていたと見ている。現在は装置が進歩し生産面はクリアした。あとは不具合への対応力が勝負だが、それも道筋が見えている。丸々2年遅れとは考えていない。感覚としては半年くらいではないか」

 ―コスト競争力をどう高めていきますか。
 「初めての量産のため、余分な工程や検査でコストが膨らんでいる。これを省く。下期中には実力的にサムスンに追いつけるだろう。またAIやビッグデータを活用し、歩留まりを上げる。画像データから欠陥を検出する取り組みでは、従来の2倍となる8割程度を自動化できるという結果が出た。もっと進めたい」

 ―生産で手を組む米サンディスクが、米ウェスタン・デジタル(WD)に買収されました。影響は。
 「大きくは影響しないだろう。四日市工場のオペレーションや、投資も積極的にやっていけると考えている」

 ―市場の見方は。
 「中国スマホの大容量化がしばらく続き、需給バランスは改善されるだろう。一方リスクは為替と競合の増産だ。積極的にシェアを取りに行く訳ではないが、シェアを落としてはいけないと強烈に感じている。競合の増産状況や市況リスクを見極めて投資を決める」

 ―分社化の可能性は。
 「分社化はいざという時の選択肢の一つとして否定はしないが、具体的な検討はない。NAND事業を単独で見てどうあるべきか、が判断ポイントだ」

 ―中国メーカーを中心に、協業の可能性を探る動きも活発になっています。
 「協業はなきにしもあらずだが、NANDを手がけるメーカーは少ない。(独占禁止法などの関係から)実現まで時間がかかってしまうため、難しいのではないか。この1―1年半は、3Dの立ち上げ状況が今後のビジネスの動きや、主要プレーヤーの立ち位置に大きく影響を与えると見ている。まずはこの勝負に全力をかける」

<解説>
 東芝は2018年度に営業損益で2700億円の黒字(15年度は4600億円の赤字)を目標に掲げており、そのうちNANDメモリーを主力とする「ストレージ&デバイスソリューション社」が1300億円を稼ぎ出す計画。その比率は5割弱に達する。中国スマホの大容量化によって東芝の生命線と言えるNANDメモリー事業が勢い付いてきたことは、経営再建を進めるうえで大きなプラスとなる。

 一方、3D構造NANDメモリーを巡っては韓国サムスン電子との量産競争がいよいよ本格化する。韓国での報道によるとサムスンは3D構造NANDメモリーを生み出した本丸である韓国・華城工場のほか、中国・西安、さらに16年末に完成する韓国・平沢工場に計25兆ウォンを投じる計画。

 NANDメモリーは投資を継続してコスト低減を進めることが生き残りの条件だが、サムスンは「チキンゲームを終わらせようとしている」と韓国メディアは指摘する。高い生産技術を無駄にはしてはいけない。東芝には設備投資で何としてもサムスンに食らい付いてほしい。

最終更新:7月15日(金)7時22分

ニュースイッチ