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「田んぼダム」全国拡大中 下流域の浸水被害減 梅雨末期は豪雨多発・・・洪水防げ

日本農業新聞 7/15(金) 12:30配信

 梅雨末期の豪雨による洪水を防ごうと、新潟発の「田んぼダム」が各地に広がっている。排水口に調整管や板を設置し、水を一時的に田んぼにためておく仕組みだ。新潟県三条市大和地区では、水田437ヘクタールに調整管を設置、取り組みは県全体で1万ヘクタールを超えた。地球温暖化が進み、年々集中豪雨が増える中で、米作りが地域の防災に貢献している。

排水口に調整管設置 新潟県1万ヘクタール超

 三条市大和地区は、田んぼダムに積極的に取り組む見附市の下流に位置する。同地区を事業区域とする刈谷田川土地改良区が、多面的機能支払交付金を活用し、底穴5センチ、深さ33センチの円すい型の「見附モデル水位調整管」の設置を呼び掛けたことで、導入する農家が増えてきた。

 設置は簡単で、田んぼの排水口に差し込むだけ。水田が本来持っている「水をためて、ゆっくり排水させる機能」を調整管で一層、強化したのが特徴だ。2011年7月の新潟・福島豪雨では、実際に下流域の浸水被害が減った。同改良区の高橋幸一総務課長は「水田には多面的な機能がある。ダムとして活用し、下流域の洪水を防いでいきたい」と話し、今後も設置を増やす考えだ。

 見附市でも梅雨末期の豪雨に備え、調整管2700本の一斉点検が始まった。正しく設置し、田んぼの貯水能力を最大限に発揮させるのが狙いだ。点検は、農家でつくる見附地区圃場(ほじょう)施設維持管理組合の地域代表12人が7月中に2回、実施する。調整管の破損や、ごみが詰まっていないかを確認する。同市は、調整管の維持のため1本500円の管理費を助成している。

 同組合長で米農家の加藤久夫さん(67)は「田んぼダムを通して、農家や住民の防災意識が高まっている」と評価する。

・兵庫、福井 北海道でも

 田んぼダムは、02年に新潟県村上市(旧神林村)で始まって以来、全国各地に広がっている。15年度は県内15市町村で導入され、1万2000ヘクタールまで広がった。

 総合治水条例を制定した兵庫県では、15年度末に29市町村、2200ヘクタールで導入が進む。福井県鯖江市も5年前から治水対策として着目。土地改良区や農家に協力を呼び掛け、694ヘクタールで調整板を設置した。この他、北海道や愛知、富山各県などでも始まっている。

 田んぼダムに詳しい新潟大学農学部の吉川夏樹准教授は「各地で水害が多発する中、効果的な予防策として注目され、新潟から全国に普及している。これからは田んぼダムを地域で維持する仕組みづくりが求められる」と指摘する。

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最終更新:7/15(金) 12:30

日本農業新聞