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トヨタvsグーグル!?車載ソフトウェア開発でトヨタが勝負をかける「AGL」とは?

オートックワン 7/15(金) 19:42配信

オートモーティブ・グレード・リナックス(略称:AGL)をご存知か?ユーザーはもとより、自動車マスコミ関係者の多くが「聞いたことがない」というはずだ。さらに、自動車メーカー社員でも、電子・制御系の開発者以外では「なんですか、それ?」と答えるかもしれない。

トヨタAGLカンファレンス

ところが、このAGLは自動車産業全体にとって、極めて重要な案件。大仰に言えば、自動車産業が生き残るための「最後の砦」である。

そのAGLでいま、大きな動きが出ている。

AGLと何か?

手短に言うと、クルマ専門のコンピュータプログラムのルール作りを協議する場だ。

近年、クルマのIT化が加速するなか、ユーザーの「車内体験」がどんどん変わってきた。ダッシュボードのモニター画面が大型化し、カーナビやSNSなどの各種サービスが拡充されてきた。

こうした、ユーザーの「車内体験」を、自動車業界では「UX(ユーザー・エクスペリエンス)」と呼ぶ。

そのUXがこれからますます進化する可能性があるが、自動車メーカーそれぞれが独自にすべてのシステムを作るとなると、膨大な資金、時間、そして人材が必要だ。そこで、自動車メーカーや自動車部品メーカーが、車載器に関係するコンピュータプログラムの基礎となる「コード」を書く際のルールを決めようという動きが出た。

最初は、独BMWなど欧州自動車メーカーが中心となり、GENIVI(ジェニヴィ)という組織を作った。一方、トヨタが中心となって生まれたのが「AGL」だ。

ただし、GENIVIとAGLは「対立」しているわけではない。GENIVIが「ルール作りの概念や方法を話し合う場」であり、AGLは「コード作成」という現実な作業を重視するもの。

そして、ごく最近になって、AGLとGENIVIとの「融和」が進んでいる状況だ。

スマホへの対応がトリガー?

クルマでのUXが重視されるなか、最も大きな時代変化はスマホの登場だ。2000年代には、i-Podをクルマにつなげる程度だったが、最近ではスマホに入っている様々な機能を車内で快適に使いたいという流れになっている。

皆さんご承知の通り、ユーザーは自身が運転中に車内でスマホ操作をすることは、道路交通法で禁じられている。そのため、スマホを車載器と接続することで、カーナビやオーディオを使うようにスマホを「サクサク使いたい」という動きが出てきた。

ただし、スマホ画面をそのまま車載モニターに投影すると、面倒な操作に気を奪われてしまい、クルマの運転が疎かになっては、自動車メーカーも警察も困る。運転中にゲームをやられても、そりゃ、困る。

そこで「運転中のスマホ機能の最適化」が議論されるようになった。

そうしたなか、スマホOSの大手2社が、独自の方法を考案してきた。ひとつは、アップルの「カープレイ」で、日本市場ではボルボなどの海外メーカーが導入を始めた。

もうひとつが、グーグルの「アンドロイド・オート」で、7月中旬からホンダ、日産、VW、アウディなど向けで国内導入を始めた。こうして、車内でのUXで、スマホの存在感がこれからドンドン増していく。

そうなると問題なのが、スマホとクルマの「開発サイクルのミスマッチ」だ。スマホの場合、春・秋バージョンのように6ヶ月、またバージョンアップなどを考えれば3ヶ月程度という早い頻度で新製品が市場に出回る。

一方、クルマの開発は、ひとつのモデルライフである5~6年間を目途に行い、そのなかでマイナーチェンジを行う。

自動車業界では、例えばコンピュータ関連のシステム開発に「最低でも3年かかる」と言われている。ということで、スマホとクルマの開発を「同じテーブルで協議」するのは極めて難しい。

では、こうした課題を解決するにはどうしたら良いか?

クルマの車載器でプログラミングのルールであるコードを自動車メーカーも、半導体メーカーも、IT関連のサービスプロバイダーも、共有する必要がある。

これを、AGLはオープンソースとして無償で提供するのだ。

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最終更新:7/15(金) 19:42

オートックワン