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「ポケモンGO」を通じて見るミレニアル世代の経済観

ハンギョレ新聞 7月15日(金)12時58分配信

「ポケモンGO」が世界的に人気を集める理由 所有より経験、イベントを重視する10~30代 同じテーマでネットワークをつくることに親しみ 「道にひょいと現れるのが不思議」

 6日にリリースされた拡張現実(AR)ゲーム「ポケモンGO」が米国で爆発的な人気となり、世界の関心を集めている。 13日、ハンギョレ新聞取材陣が訪れた江原道(カンウォンド)の束草(ソクチョ)にも人々が殺到し 、束草行き高速バスのチケットが完売するという異例の事態まで起こった。束草は、ポケモンGOの公式サービスが開始していない韓国で唯一ゲームをプレイできる場所だ。

 米国ではリリースから2日でアクティブ利用者数がツイッターに迫り、1日の平均利用時間はインスタグラムを超えた。現実世界を歩き回り、ゲームに登場する小さなモンスターを捕まえ育てる単純なゲームのポケモンGOが、世界的な「現象」にまで浮上した理由は何か。

 この状況は、X世代以降の若者たちの総称であるミレニアル世代(1980~2000年生まれ)を抜きには語れない。ミレニアル世代は所有よりも経験やイベント、ネットワークを重要視する世代だ。既存の世代とは明らかに異なる彼らの特徴は、ポケモンGOを通してはっきりと表れている。

■人と出会う

 午後9時、ハンギョレ取材陣が訪ねた束草エキスポ公園はポケモンGOの「聖地」となっていた。束草住民や外から来た人など約200人が一カ所に集まり、まるでゾンビのようにスマホを見ながら歩きながら騒いでいた。これより先の11日(現地時間)夜には、米国ロサンゼルスのサンタモニカ埠頭にも数百人が集まった。彼らの視線はスマホに注がれていた。

 ミレニアル世代は出会いを重視する。米国のイベント会社イベントブライトが調査会社ハリスに依頼して分析した結果を見ると、ミレニアル世代の4人に3人が、何かを購入するよりも経験やイベントにお金を使う傾向にある。彼らは他者とともに過ごすためにお金を使う。

 ポケモンGOはこのような心理を刺激する。テーマを共有する人と出会うのはミレニアル世代がもっとも歓迎することだ。彼らはツイッターのようなSNSを通じて、仮想のネットワークを築いてきた。このようなネットワークを現実世界にまで拡げたポケモンGOは、ミレニアル世代にとって最高のプレゼントだ。今や彼らは現実世界で仲間に出会うことができる。 1983年生まれの有名なプログラマー、イ・ドゥヒ氏はFacebookにこのような文を書いた。「同志に会った気がするけどどうしても進んで声をかけることができない。遠くから見ればすぐにわかる」

 ゲームの「ルアー」(lure)機能は、 このような彼らの傾向に積極的に攻め込む。 0.99ドルで買えるルアーを特定の場所に投げると、そこにポケモンが集まる。さらにポケモンを捕まえようとする人も集まる。

 オーストラリア在住のニック・ケトリーは7日、ツイッターに「ルアーを投げた後、20人の(ポケモンGO)プレイヤーに会った」と、「仲間」との即席の出会いを記念する「証明写真」を載せた。ルアーを利用したマーケティングも目を引く。米国の「フォーブス」は9日、「ルアーを利用すれば店に人を引き入れるという形でビジネスにも活用できる」と紹介した。


■ノスタルジーを刺激する

 ハンギョレ取材陣が束草高速バスターミナルで会った会社員のキム・ソンウ氏は、この日の午後1時から6時までにポケモン70匹ほどを獲得したと話した。1988年生まれのキム氏は、ゲームの人気を「ノスタルジー」と説明した。

 「小さい頃シャニーから発売されたポケモンパンがありました。パンの袋に(ポケモン)シールがついていて、それを集めるのが楽しかった。現実の道を歩いていてそのモンスターがひょっこり表れるのが不思議」

 ミレニアル世代が子どもだった1999年、米国ではポケモンのアニメ映画が公開された。韓国ではポケモンパンが大人気となった。17年たった今、彼らは大人になり購買力を持つようになった。

■経験を重視する

 イベントブライトは、ミレニアル世代が登場するにつれ、消費者が経験やイベントに投資する割合が1987年以降から現在まで70パーセント増加したと明らかにした。ポケモンGOは、今までにない新しい体験を提供する。見慣れた現実の都市空間は、ポケモンが現れるとまったく別の世界へと変わる。彼らはポケモンを探す新しい探検を始めている。

 ミレニアル世代は新しい経験のためにお金を使うことを厭わない。1ドルもしないルアーくらいならいくらでも購入する。この世代は、長い間お金を貯め苦労して家を購入したが2008年の金融危機により一瞬で水の泡となった前の世代の姿を見ている。将来よりも現在に大きな価値をおく。ポケモンを捕まえるために進んで束草行き高速バスに乗り込むのはこのためである。

 世界的投資銀行のゴールドマン・サックスによると、ミレニアル世代は他のどの世代よりも健康を重視する世代でもある。米国のツイッター利用者ブランドンは、ポケモンを捕まえるために歩き回り、1日で2万4239歩を歩いたと証明写真をアップした。

 米国ではこのようなミレニアル世代の分析を盛んに行っている。ゴールドマン・サックスは「ミレニアル世代が経済を変えている」とし、「市場の変化を検討しなければならない」と強調する。実際、ミレニアム世代の登場による変化は、知らず知らず相当の部分で進んできている。 Facebookやツイッターなど各種SNSが行き渡り、ウーバーなど車の共有サービスが拡大した。音楽CDよりもストリーミング・サービスやライブコンサートの需要が増えている。

ウム・ソンウォン記者、束草/パク・ヒョンチョル、ファン・チュンファ、キム・ジスク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月15日(金)12時58分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。