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人口減の波、介護を直撃 人材確保難しく

紀伊民報 7月15日(金)16時40分配信

 和歌山県田辺市本宮町で介護職員の不足が目立っている。全国的な課題だが、本宮町では人口減少で担い手自体が少ない。そのため、サービスの維持が難しい介護施設も出てきている。市は人口増と介護人材確保の一石二鳥を図る施策を打ち出しているが、成果はまだ出ていない。

 2015年度の本宮町の65歳以上人口は1345人。高齢化率45・7%、75歳以上の後期高齢者率29・5%は、いずれも市内5地区で最も高い。労働力人口1361人に対し、介護認定者は388人いる。推計では30年に介護認定者は301人と2割減るが、労働力人口は811人と4割減ると見込んでいる。

 市によると、本宮町の居宅介護サービス利用は全ての種類で、市平均を下回っている。特に訪問介護は市平均の半分。サービス提供事業者数が少ない上、他地区の事業所からのサービス提供も少ないのが要因となっている。

 社会福祉法人「熊野福祉会」が運営する本宮町の特別養護老人ホーム「熊野本宮園」の従業員は、パートも含め約50人。平均年齢は45歳ほどで、若者の補充が少ないため、年々上昇している。熊野古道などの世界遺産登録後、観光業の求人が増え、若者の確保はより難しくなったという。

 本宮園の男性介護職員(51)は「人手不足は感じる。夜間に1人で対応しなければならない時間帯もあり大変」と明かす。本宮園は「せめて、忙しい時間帯にパートで来てくれる人がいれば助かる」と話す。同法人は今春、ヘルパーの不足などで訪問介護事業を休止した。

 高齢化率が高く、労働者人口が少ない構造は他の旧町村も同様だが、田辺市街地から通勤圏内のため、何とか人員を確保できているという。市やすらぎ対策課は「このまま人口減少が進めば、他地区も同様の状況になる可能性が高い。本宮町で課題解決のモデルをつくりたい」と話す。

 そこで、市は本宮町に移住して指定の介護事業所で働く人に、就労に必要な資格取得の費用助成や住居のあっせんをする事業を15年度から始めた。しかし、春と冬の2回公募して、採用はゼロ。応募自体も2人しかいなかった。

 本年度は応募者が転職しやすいよう受付期間を定めず、随時に変更。ひとり親家庭への支援も充実させた。

■介護職員の移住者募集 

 市は、本宮町に市外から移住して、指定の事業所で介護職員として働く人を3人程度募集している。来年3月31日までに移住し、5年以上在住、継続勤務することが条件。

 採用者には介護職員初任者研修などの費用を全額補助。2カ月間、必要な生活費も月額11万2千円助成する。本宮町内の住宅もあっせんする。

 問い合わせは市やすらぎ対策課(0739・26・4910)へ。

最終更新:7月15日(金)16時40分

紀伊民報