ここから本文です

社説[国、県を再提訴へ]対話放棄は権力の慢心

沖縄タイムス 7/16(土) 5:00配信

 あくまでも話し合いによる解決を目指す県に対し、国は新たな訴訟の提起を検討している。 
 名護市辺野古の新基地建設を巡る訴訟の和解を受けて設置された県と国の作業部会で、国側が県を再提訴する可能性を示唆した。和解条項に基づき中断している工事のうち、米軍キャンプ・シュワブ陸上部分の工事を再開する意向も示している。
 3カ月ぶりに開かれた会合で明らかになったのは、裁判で早期決着を図り、埋め立て工事をできるだけ早く再開したいという国の姿勢だ。
 作業部会には県から安慶田光男副知事が出席し「訴訟ではなく、協議を」と要請した。地方自治法が定める期限の21日までに国を提訴しない考えも伝えた。
 先月、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が、知事の埋め立て承認取り消しの撤回を求めた国の是正指示について適否を判断せず、協議を促す結論を出したからである。
 これに対し国は、知事が是正指示に従わないとして、違法確認訴訟を起こす方針という。作業部会のメンバーで法務省の定塚誠訟務局長は、協議と訴訟は「車の両輪」で問題ないとの認識だ。
 一方で争い、一方で話し合うというのは、そもそも両立しない。
 地方自治の精神をないがしろにするだけでなく、福岡高裁那覇支部が示した和解条項や係争委が求める協議による解決にも背くものである。
■    ■
 今年1月、新基地建設を巡る代執行訴訟で福岡高裁那覇支部は「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである」とする和解勧告文を提示した。行政訴訟としては異例の措置である。
 一方、係争委の小早川光郎委員長は会見で「普天間返還という共通の目的の実現に向けて真摯(しんし)に協議し、納得できる結果を導き出す努力をすることが最善の道だ」と双方に十分な議論を促した。こちらも極めて例外的な対応である。
 さらに沖縄では、県議選、参院選と直近の二つの選挙で、新基地建設に反対する明確な民意が示された。
 これらを無視して何が何でも基地建設を進めようとするのは、地方自治を破壊し、沖縄の人たちの尊厳を傷つけ、政府の正統性さえも失わせるものである。到底受け入れることはできない。
■    ■
 参院選の結果、自民党など改憲勢力は憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を確保した。自民党による参院単独過半数も27年ぶりに回復する見通しだ。
 日本の政治に詳しいジェラルド・カーティス氏は「今の日本の政治は官邸主導が非常に強すぎます」「健全な政党政治からは程遠い状況です」と指摘している。(「月刊マスコミ市民」7月号)
 国家権力を背にした「暴力的解決」は、日本の安全保障の基盤をかえって脆弱(ぜいじゃく)化させる。国政選挙で連戦連勝の安倍政権は、その事実にさえ気がついていない。

最終更新:7/16(土) 5:00

沖縄タイムス

なぜ今? 首相主導の働き方改革