ここから本文です

超富裕層の投資最前線「ポートフォリオの30%」を占めるのは……

ZUU online 7月16日(土)10時10分配信

環境破壊や貧困、差別といった社会問題の解決を支援する事業に投資することで、多様な利益を創出することを目的とする「ソーシャル・インベストメント(SI)」が超富裕層間で活発化している。

フランスの国際コンサルティング会社、キャップジェミニのデータによると、2014年から2015年にかけて超富裕層の投資の31%がSIとのことだ。中でも40歳以下の超富裕層の関心が高く、すでに約40%がSIを行っているほか、60%が「今後2年間にわたり、SIへの投資額を増やす」意向を示している。

投資先としては、日本を除くアジア太平洋域へのSI活動が伸びを見せており、世界平均を上回る36.3%が投じられている。

■ソーシャル・インベストメントとは?

SIとは企業の社会的責任(CSR)に基づくもので、クリーンエネルギーや正規貿易額など、社会に貢献する事業への投資を指し、社会的責任投資(Social Responsibility Investment)と同等の意味合いで、Social Return On Investment、Social Impact Investmentなど、様々な名称で認識されている。

投資から一方的な利益を得るだけではなく、社会に何らかの恩恵をもたらすという発想で、幅広い層の投資家から共感を集めている。
これらの投資家はSIへの積極的な資金援助、あるいはSIではない企業や活動への投資を拒絶することで、よりよい社会の構築を目標としている。現在世界中で投じられているSIの41.6%は、上場企業の公開、未公開株だ。

■欧米では政府や大手企業が全面的に支援

CSRが盛んな欧米ではすでに広く浸透しているが、日本ではまだ浸透していない状況だ。

モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスといった国際大手企業が継続的にSIを支援し、投資家の意識向上に貢献しているほか、一個人、一企業という枠組みを超え、各国の政府もSIに乗りだしている。

一例をあげると、昨年8月に英国政府が中心となって設立した「Global Social Impact Steering Group(GSG)」では、米国、日本、カナダ、フランスといった主要13カ国に加え、EUを含む世界各国の政府や機関が、ともにSI活動の促進に励んでいる。

社会貢献で実績をあげている、または実績をあげようとしている企業への投資が一般的だ。環境保護活動に重点を置いたグリーン債券(Green Bond)、非営利で発行されるコミュニティー債券などが人気で、目標を達成した場合にのみリターンが発生するソーシャル・インパクト債券には、SI投資の13.8%が流れている。

熱心な超富裕層の中には、単に資金を投資するだけではなく、積極的に自らの支援プロジェクトを立ち上げ、活動する姿も目につく。

■人気のSI投資先はアジアから南米へ移行?

SIは改善が必要とされる地域に集中して投じられるため、当然ながら新興国への投資の割合が高い。

例えばマレーシア、インドネシア、中国へのSI投資は、超富裕層のポートフォリオの40%を超えている。南米は34.2%だ。

今後2年間のSI活動という観点では、超富裕層の49.3%が投資の増額を計画しており、キャップジェミニが実施したアンケート結果からは、世界平均が49.3%まで伸びることが予想されている。

アジアSIへの関心は58.2%と依然高くとどまるが、南米への投資が67.2%まで飛躍的に高まりそうだ。北米への増援計画も54.6%と非常に高い。

SIが減る地域として、最も可能性が高いのは日本。増額を検討している超富裕層も36.3%いるが、14.1%が減額を検討している。次いで12.5%が中近東とアフリカ、11.9%が欧州への減額を予想している。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター).

最終更新:7月16日(土)12時21分

ZUU online