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警官銃撃事件のダラス市警署長、銃による悲劇のキャリア 息子も失う

The Telegraph 7月16日(土)10時0分配信

【記者:Nick Allen】
 米テキサス(Texas)州ダラス(Dallas)で警官らが銃撃され5人が死亡した事件で、ダラス市警のデービッド・ブラウン(David Brown)署長の数奇な人生に、銃による新たな悲劇が加わってしまった。

 ブラウン署長は55歳。兄弟2人と、警察で組んだ最初の相棒を銃により失っている。何よりも悲劇的なことに、6年前にはブラウン氏の息子が警官を撃って殺害した後、別の警官に射殺されている。

 黒人のブラウン氏は、サウス・ダラス(South Dallas)の荒れた地域で育った。自分のことを「スラム街の子ども」と形容している。1980年代初頭のクラック・コカイン流行による荒廃を目の当たりにし、何とかして警官になろうと思うようになった。

 1988年、最初の相棒だったウォルター・ウィリアムズ(Walter Williams)巡査が強盗事件の捜査中に待ち伏せされ、頭を撃たれて死亡した。

 その3年後、弟のケルビンさんも、麻薬ディーラーに頭を撃たれて殺された。ブラウン氏はこの悲劇に打ちのめされたが、前に進み、1990年代の大半を特殊部隊(SWAT)の隊員として過ごした。

 2010年、3600人を擁するダラス市警の署長に就任。その数週間後の父の日、家族を乗せて車を運転していた若い父親を、1人の男が射殺する通り魔事件が発生した。現場に駆け付けた警官1人も撃たれて死亡。到着した警官隊が、男に12発の弾丸を撃ち込んで殺害した。

 信じられないことに警察が射殺した犯人は、ブラウン署長の息子だったことが判明した。27歳だった息子は双極性障害(躁うつ病)を患い、遺体の検視でPCPなどの薬物に依存していたことも分かった。

 ブラウン氏は被害者の遺族の元に赴き直接、謝罪した。当時のブラウン氏は「あまりにも痛みが大きく、心の内に感じる悲しみを適切に表現できない」と語っている。そしてこう言い添えている。「これが私たる人間の一部であることは否定できない。犠牲者の遺族として、その辛さを知っている」。ある警察幹部は「彼はそれを乗り越えた。真のリーダーだ」と評する。

 その後、ブラウン署長は、警官と地域住民の良好な関係を築くために「コミュニティー・ポリシング」とされる手法を導入した。ダラス市長のマイク・ローリングス(Mike Rawlings)氏は「われわれは米国でも有数のコミュニティー・ポリシングを行っている都市だ」と語る。「今年は全米のどの大都市よりも、警官の関与した銃事件が少なかった。もちろん常に改善の余地はあるが、最も優秀な部類ではある」【翻訳編集】AFPBB News

最終更新:7月16日(土)10時0分

The Telegraph