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「観光危機管理」先進県の沖縄に学びあり

日刊工業新聞電子版 7月16日(土)14時55分配信

観光客への情報発信などきめ細かく

 4月に発生した熊本地震は、被災地の観光産業に深刻な影響を与えた。影響は被害の有無に関係なく九州全域に及び、一時はツアーの解約が相次いだ。関係者の懸命の努力もあって震災前の水準に回復しつつあるが、多くの課題を残したのは間違いない。外国人観光客への適切な情報提供ひとつをとっても十分だったとは言い難い。観光に特化した危機管理ビジョンが求められている。

 観光県である沖縄は、2014年度に「沖縄県観光危機管理基本計画」を、15年度に同実行計画をまとめた。全国の自治体に先駆けた取り組みだ。

 01年9月の米国の同時多発テロ事件後、航空機の搭乗検査が厳格化されて旅行の自粛ムードが高まった時期に、観光客の大半が空路を利用する同県は大打撃を受けた。その後、11年3月の東日本大震災をきっかけに県内市町村や観光業者にアンケートを実施して計画を策定した。

 同計画では「観光危機」として自然災害、人的災害、健康危機、環境危機、県外の災害・危機の5項目を想定。観光客の安全確保と観光産業復興の2本柱を掲げた。従来の観光政策では比較的弱かった観光客への情報発信、避難誘導などを盛り込んだのが特徴。沖縄は外国人を含めた個人観光客が多く、きめ細かな対策が必要になる。

 県は次の段階として、市町村ごとの計画策定を促している。16年度中にも那覇市、糸満市、南城市などが計画を立案する予定だ。ただ課題もある。「観光危機管理」という発想自体が新しく、市町村からは「必要性は感じるが計画の作り方が分からない」という声が聞かれる。運用マニュアルのようなものが必要かもしれない。また観光事業者からは「地道に(改善を)積み上げていく努力が必要」との指摘もある。確かに危機は事前に想定しにくく、事後の計画のブラッシュアップは重要だ。

 政府が外国人観光客誘致を進める中で、他の自治体も沖縄の先進事例に学び、危機管理計画に取り組む必要があろう。意識を隅々まで定着させることが、真の観光大国への道だ。

最終更新:7月17日(日)12時27分

日刊工業新聞電子版

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