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アスクル、物流大改革へ。アマゾン・楽天に対抗し「マーケットプレイス」も

ニュースイッチ 7月16日(土)9時7分配信

ロハコ黒字化のカギは「物流センターの生産性を上げること」(岩田社長)

 アスクルが物流と配送で、大規模な改革を推し進めている。スマートフォン普及や共働き増加で、インターネット経由で日用品などを買う消費者のニーズを背景に、同社の日用品通信販売サイトの売上高が拡大。これに伴う物流拠点への投資で固定費が増え、利益が圧迫される「いたちごっこの状況」(岩田彰一郎社長)が続いている。こうした課題の解決で導入したのがロボットや人工知能(AI)。物流拠点の運用改善を進める一方、固定費負担が軽い「マーケットプレイス」方式も模索しつつ流通規模を拡大する。

<8拠点目の物流拠点が大阪で稼働へ>

 アスクルがヤフーと資本業務提携し、日用品のネット通販サイト「ロハコ」を立ち上げて約4年。BツーC(対消費者)向け電子商取引(EC)市場はアマゾンや楽天などとの競争が激しさを増す中、ロハコの2016年5月期の売上高は、前期比64・7%増の328億円で大幅な増収。5月には40億円を投じた物流センターが横浜で稼働したほか、17年には同社最大規模となる8拠点目の物流センターの稼働が大阪で控えている。

 アスクルは当日・翌日配送が強み。だが、物流センターの運用コストが膨らみ、ロハコの営業損益は30億円規模の赤字が続いている。しかし、岩田彰一郎社長は「先行投資の段階だ」と強調。17年5月期の下期以降、「利益成長へ転換する」と強気だ。営業損益を黒字化するカギは「物流センターの生産性を上げる」ことだ。

 同社は6月、関東地域の配送を担う大型物流拠点、アスクルロジパーク首都圏(埼玉県三芳町)に、高精度の画像認識システムを持つピッキングロボットを導入した。

 生活用品は多品種少量の商品がメーン。また、トイレットペーパーや台所用洗剤といった製品ごとに大きさや形状も異なる。このため、従来はピッキングを人手に頼らざるを得なかった。

<日立のAIで配送にもメス>

 アスクルはロジパーク首都圏へのピッキングロボ導入で、商品在庫の数や配置の自由度が向上。在庫効率と作業生産性などが約3倍に改善した。物流センターにかかる一定の固定費に対して「出荷能力を上げていく」ことで、利益体質の改善につなげる。横浜の物流センターでもロボットを活用する考えだ。

 配送では、宅配不在率の低減が課題。10分前に到着時間を知らせるサービスを試験導入した。アスクルが持つ配送管理システムと、交通状況や天候などの外部情報のビッグデータ(大量データ)を日立製作所のAI技術で分析し到着時刻の精度を上げる取り組みだ。

<定款も変更>

 「狙う先はアマゾンと楽天の2強」と公言するアスクル。だが、楽天のECサイト「楽天市場」の取扱商品数約2億2000万点に対し、ロハコの取扱数は約20万点と小規模。ロハコの主なターゲットとする30―40代の働く女性の需要を取り込むため、化粧品専門サイトで資生堂やP&Gのカウンセリング化粧品の取り扱いも始めた。

 取扱商品数拡大の思惑からか、アスクルは8月の定時株主総会で定款変更を行い「(商品等の販売)ならびにその取り次ぎ、代理および仲介」の一文を加える。現在のロハコは自社で在庫を持って販売する「直販」。楽天やアマゾンは事業者が自由に出店して売買できる「マーケットプレイス」で業績を伸ばしており、このモデルに対応できるようにするとみられる。

最終更新:7月16日(土)9時7分

ニュースイッチ