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描けぬ将来図 揺れる長泥の住民 帰還困難区域近く見通し

福島民報 7月17日(日)10時43分配信

 東京電力福島第一原発事故に伴う飯舘村の避難区域再編から17日で4年となった。居住制限、避難指示解除準備両区域は来年3月31日の解除が決まったが、帰還困難区域の長泥行政区の住民は身の振り方を決められないでいる。政府は帰還困難区域の区域見直しについて今夏に見通しを示す方針で、住民は古里の行く末に注目している。
 村内に20ある行政区のうち長泥は浪江町に接する村南部に位置する。平成24年7月の避難区域再編で町内で唯一、帰還困難区域に設定された。5月31日現在の住民は75世帯、268人。
 平成24年に農林水産省が区内の農地10ヘクタールでモデル除染を実施。除染前と比べ土中の放射性セシウム濃度は92%、空間放射線量は73%低減した。26年には環境省が墓地3カ所の除染を行ったが、それ以降は手つかずのままだ。
 だが昨年11月現在の空間放射線量は放射性セシウムの自然減衰により、帰還困難区域の基準となった年間放射線量50ミリシーベルトを全域で下回っている。政府原子力災害現地対策本部の高木陽介本部長(経済産業副大臣)は6月、避難区域見直しに関して「これまでの経過を踏まえて判断したい」との考えを示している。

■「時間が止まったまま」

 福島市の公務員宿舎に避難している行政区長の鴫原良友さん(65)は「長泥だけ時間が止まったまま放っておかれている。早く見通しを示してほしい」と語気を強める。
 帰還を諦めて村外に新居を構えた人も多いと聞く。自身も昨年2月、市内に中古物件を買った。いつかはそこに家族5人で暮らす考えだが、まだ決心はつかない。愛する古里の将来がはっきりしないためだ。
 年に数回、地元住民で帰還困難区域内の草刈りを行う。未除染の場所での作業に健康被害を懸念する声もあるが「先祖が守ってきた地域を未開拓の場所に戻すわけにはいかない」と続けている。参加者は全世帯の半数を超える約40人。地域の絆は失われていないと感じる。
 政府方針の公表時期が近づく。帰れるのか、帰れないのか。「極端な話を言うと帰れないならそれでもいいんだ」。住民が前に進めるような答えを待っている。

福島民報社

最終更新:7月17日(日)16時32分

福島民報