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囲碁AIに負けちゃったFBの人工知能技術。これからの可能性はどこに?

ニュースイッチ 7月17日(日)9時6分配信

研究テーマはユーザーのコミュニケーションを理解すること

 今では、ICT関連のビジネスを行う大企業のうち、AIに関する興味を表明していない企業はまれだとも考えられるが、インターネット上だけでビジネスを展開する企業は特に積極的にAIへの取り組みを加速させている。フェイスブックはさまざまな方法でこの新たなテクノロジーの研究開発に取り組んでいる。

 コンピューター囲碁プログラムであるアルファ碁がプロ棋士を破ったことは、AIの進化を示すこととして今年初めに話題になった。このプログラムを開発したディープマインド社は、2014年にグーグルが買収した企業だが、フェイスブックも同時期にディープマインド社の獲得を試みていたとされる。

 フェイスブックは毎年売り上げに対する研究開発投資額を増加させ続けているが、その研究開発投資のうちAIの比重を高めている。13年には高名なニューヨーク大学のAI研究者を採用してニューヨークに研究所を設立した後、パリにもAIの研究所を設立している。

 グーグルは以前からヨーロッパにおいてもAI研究のための組織を運営しているが、フェイスブックの狙いもヨーロッパをはじめ、世界に点在する優秀なAI研究者を囲い込もうとするものだとされている。

 通常、新たなテクノロジーを取り込むためには、自社で研究開発を行うか、先進的な企業を買収するかという選択肢がある。事実、フェイスブックも研究開発に力を注ぐ一方、15年以降自然言語処理や音声認識技術の開発を行うベンチャー企業他、複数の企業買収も行っている。

 AIの場合、ビジネスへの適用範囲が非常に大きいことは予想できるものの、依然としてビジネスモデルが確立していない。このため、研究開発や企業買収と同時に、優秀な研究者を世界中から集めるために研究開発のための拠点整備を進めている。

 フェイスブック最高経営責任者(CEO)のザッカーバーグは、「人々が何をシェアしているのかを理解すること」がAI研究のテーマであるとするが、AIを用いてユーザー自身とユーザーのコミュニケーションを理解しようとしていると考えればよいだろう。

 全世界でみれば、既にフェイスブックのユーザー数が16億人を超え、中国の人口13億人を大きく上回る。また、12年に買収したインスタグラムのユーザー数は今年5億人を突破し、その勢いはとどまっていない。

 これほど多くのユーザー情報、およびSNSならではのユーザー間の関係に関わる情報を理解しようとすれば、人間を超える知能を必要とするのは当然だとも考えられる。それらを理解できるのだとすれば、巨大なビジネスにつながる可能性がある。

<解説>
フェイスブックのAI部門も囲碁AIに挑戦していた。3月に日本の電気通信大学で開かれた囲碁AIの国際大会「UEC杯」に参戦して二位に。その流れで電聖戦で小林光一名誉棋聖に3子のハンデをもらって対戦し、敗れたた。世間はアルファ碁に夢中で、あまり報道されていないが、フェイスブックとしては残念な結果である。

 SNS系がAIを開発する強みはコミュニケショーンの膨大データがあること。ビッグなデータをディープに学習すれば、活用の道はありそう。現在の対話AIは会話を成立させることが目標。それでは迷惑メールは書けても、接客は難しい。

 SNSには仲間内で盛り上がっている会話データが大量にある。フェイスブックが作れば、話して楽しいAIができるかもしれない。そんなAIに、いろいろ商品を買わされちゃう日が来るかもしれないが。
(日刊工業新聞社科学技術部・小寺貴之)

湯川抗(昭和女子大学グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科教授)

最終更新:7月17日(日)9時6分

ニュースイッチ

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