ここから本文です

県内15議会が政活費「前払い」 不正・無駄遣い温床に

北日本新聞 7月17日(日)0時50分配信

 県議会の前副議長、矢後肇氏(56)の不正によって、使途やチェックの在り方が問われている政務活動費。交付している県内15議会すべてが、事前に個人や会派に渡していることが北日本新聞のまとめで分かった。「前払い」では無理に使い切ろうという意識が働き、不正や無駄遣いの温床になりやすいとの指摘があり、県外では領収書を基に事後精算する「後払い」の所もある。また第三者に使途を精査してもらう議会は県内になかった。

 北日本新聞はアンケートや聞き取りによって、県議会と15市町村議会の政活費の状況を把握。舟橋は制度がなく、残る15議会はすべて前払い。うち射水、黒部、小矢部の3市は議員に、残る県議会と11議会が会派に交付していた。

 前払いは、使わなかった分を後で議会に返還する仕組みで、不正の要因になるという見方もある。6日に詐欺罪などで有罪判決が言い渡された野々村竜太郎元兵庫県議も「一度受け取った政活費を返したくなかった」と捜査機関に話していた。

 富山県議会の政活費は1人当たり年間360万円で、議会から会派に前払いされる。ただ、矢後氏が所属していた自民党はいったん会派でプール。議員が書籍などを購入した場合、領収書を添付して会派に請求し、政調会長らがチェックしてから支給する「事実上の後払い」だった。

 しかし、矢後氏は13日の記者会見で、会派の審査を「形式要件のチェックで、その本の内容の濃さとか、そういうチェックはされていない」と明かした。「事実上の後払い」であっても使わないと会派が議会に返すことになり、「未消化の部分を返還するくらいであれば、将来のために取っておくことはできないのかなと考えた」と不正の動機を語った。

 より厳正に政活費を扱うようにするため、後払いにしている自治体もある。京丹後市(京都)は2015年4月から政活費を交付し始め、最初から後払いにしている。議長と議会事務局が年2回、議員22人の収支報告書や領収書などを精査して支給すべきかどうか判断する。

 1人当たり年間18万円が上限で、15年度に使われたのは上限額の約60%。政務活動費等調査特別委員長の松本聖司市議は「前払いでは、どうしても使い切ろうと思ってしまう。厳しいルールでないと市民の理解も得られない」と話す。

 富山県内の議会での15年度の「使い切り率」(支給額のうち返還せずに使った割合)は平均90・9%で、最低の氷見市でも79%だった。最も高いのは富山市と上市町で、すべて使い切ったことを示す100%。県議会は89・2%だった。

 県議会自民党の政調会長の山本徹氏は、政活費は政策や知事への要望に生かすため必要だと強調し「うちは抑制するのではなく、どんどん使えというスタンス」と言う。後払いによる不正防止には否定的で「チェックのための第三者機関を設けたり、県民会館で使途を公開したりするなどの方法がいいのではないか」と話した。 (地方議会取材班)

■県外では第三者チェックも

 県外では政務活動費の不正を防ぐため、弁護士や公認会計士ら第三者によるチェックを取り入れる動きが出ている。北海道には一般の住民が審査に加わる議会もある。

 東京都議会は2009年度に第三者機関を設置。年間に提出される領収書は約3万枚に上るため、弁護士や公認会計士ら3人が3カ月に1回、50枚ほど抽出して内容を確かめている。議会局は「透明性を確保し、専門的見地から指摘を受けることで適正な支給につなげたい」(政務活動費担当)と言う。

 公募に応じた住民5人が収支報告書などに目を通し、議員に問いただすことができるのが北海道鹿追町議会。40~60代が中心で、女性もいる。視察や出張の報告書は感想だけで終わらせず、町政にどう生かすかというビジョンも求めている。議会事務局は「議員の意識向上にもつなげたい思いもある」と話した。

 全国市民オンブズマン連絡会議の15年度の調査では全国の都道府県、政令市、中核市の112議会のうち、北海道や兵庫県、金沢市など12議会が支出が適正であるかどうかを第三者機関や弁護士らの点検を受けていた。

北日本新聞社

最終更新:7月19日(火)18時5分

北日本新聞