ここから本文です

米軍基地の跡地利用、経済効果18倍【誤解だらけの沖縄基地・33】

沖縄タイムス 7月18日(月)11時7分配信

 「米軍基地は市街地を分断する形で存在しており、都市機能、交通体系、土地利用などの面で大きな制約になっている」
 沖縄県は2015年に公表した米軍基地の跡地利用に伴う経済波及効果に関する調査の中で、米軍基地が経済や市民生活、まちづくりの上で、“阻害要因”になっていることをはっきりと明記している。
 嘉手納町より南の沖縄本島中南部地域の人口は約117万人で、県全体の8割を超える。面積は全体で約479平方キロメートルのうち、米軍基地を除けば約412平方キロメートルになる。1平方キロメートル当たりの人口密度は全体では2450人だが、基地を除いた場合には2846人に膨れ、神戸市の2786人を上回る数字になる。
 県の調査では、人口の集中する中南部地域の米軍基地が返還された後の経済効果を試算している。返還前の軍用地料や基地従業員所得、米軍関係者の消費支出、基地周辺整備費や交付金を合わせた金額と、返還後の卸・小売業、飲食業、サービス業などの売上高、不動産賃貸額を合わせた金額を比較している。
 全体では501億円から8900億円と約18倍に増加すると見込む。
 内訳はキャンプ桑江で40億円から334億円と8倍、キャンプ瑞慶覧で109億円から1061億円と10倍、普天間飛行場で120億円から3866億円と32倍、牧港補給地区で202億円から2564億円と13倍、那覇港湾施設で30億円から1076億円と36倍と予想する。
 雇用面でも、誘発される生産を行うために必要となる「理論上の雇用者数」が、キャンプ桑江で351人から3409人と10倍、キャンプ瑞慶覧で954人から7386人と8倍、普天間飛行場で1074人から3万4093人と32倍、牧港補給地区で1793人から2万4928人と14倍、那覇港湾施設で228人から1万687人と47倍に伸びると試算している。
 調査は住宅地や商業地としての利用が成功した場合を前提とするほか、周辺地域の経済が沈下する可能性もある。それを踏まえても、すでに那覇新都心地区や小禄金城地区、北谷桑江・北前地区といった米軍基地返還跡地の実績が示すように、返還で生み出される経済効果の方が、基地関連収入をはるかに上回るのは間違いないとみられる。
 県は調査結果をホームページで公表している。県幹部は「沖縄の米軍基地に関する誤解に対しては、具体的な数値やデータ、事例を説明していくしかない」と狙いを語った。(「沖縄基地」取材班)

最終更新:7月24日(日)1時15分

沖縄タイムス