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忙しい大人こそ絵本を 那覇市に専門店「hoccorie」

沖縄タイムス 7月18日(月)11時7分配信

 並んでいるだけでアート作品、ページをめくれば空想の世界。手にするのはほんの数分なのに、読み終わるころにはほっとしたり、勇気づけられたり。絵本の持つそんな魅力を大人にも届けようと、「えほんや hoccorie(ホッコリエ)」は那覇市壺屋に3年前開店した。大切な節目を迎える家族や友人を思って、少し疲れた自分のために、ゆったりとした時間を過ごす客の姿がある。(学芸部・座安あきの)
 「5分で読んで栄養をもらって、また次に進んでいける。魅力がいっぱい詰まった世界です」
 店主の石田夢子さん(46)が絵本の魅力に引き込まれたのは30代で子どもを産んでから。幼少期に親しんだ記憶のある絵本でも、改めて読み返すと風景が違って見えた。「ほっとできたり、大切なことを思い出したり、迷ったときにはぽんと背中を押してもらったり。絵本に救われたことは数え切れない」。店内には石田さんが心を動かされた500冊が並ぶ。
 企業で広告物のデザインや企画に携わった経験のある石田さん。壁全体を彩る絵本の配置にも持ち前のセンスが光る。
 壺屋という場所柄、散歩途中の地元客や通りを散策する観光客がふらっと立ち寄る。普段絵本を読む機会のない人でも、気に入ったものに出合うと次々と読みふけり、数時間過ごすこともあるという。
 留学先のロンドンから休暇を使って沖縄に一人旅で来た韓国人の男性(22)はガイドブックを手に店を訪れた。「日本の作家に興味があっていくつか翻訳された本を読んでいる」といい、現代美術家の大竹伸朗さん作「ジャリおじさん」などを買っていった。
 絵本選びにアドバイスをもらえることも大型書店にはない魅力の一つ。結婚や出産のお祝い以外に、「落ち込んでいる友達に、元気が出るような絵本はないですか」と尋ねる若い女性、仕事帰りに立ち寄り、図書館のように過ごして帰るサラリーマンの男性、20歳前後の若い男性が友人を連れ、絵本の魅力を語って聞かせる場面を目の当たりにしたことも。
 「同じ絵本でも、読む時々の気持ちによって感じ方が違ってくる。初めは雑貨を手にする感覚でもいい。毎日を忙しく過ごしている大人にこそ、絵本に触れる時間を持ってみてほしい」と話した。

■店主・石田さんオススメの4冊
 石田さんに、今おすすめする4冊を選んでもらった。
 【いっぽ、にほ…】
 子どもと一緒に行動するとなかなか思うようには前に進まないけれど、ゆっくり流れる時間の中には一緒だからこその発見と喜びがいっぱい。幸せなその瞬間瞬間を改めていとおしく感じる1冊。
 【かあさんの いす】
 質素な暮らしの中にも、家族がそこに居ることや互いを思いやる気持ち、本当の幸せって、日常の中でこういう小さな幸せを感じられることなんだとしみじみ感じさせてくれる。
 【森の絵本】
 忙しい毎日の中で忘れかけた、大切なことを思い出させてくれる。時々読み返しては、深呼吸のような心地よさで心を穏やかにする、いつも側に置きたい1冊。
 【ひみつだから!】
 猫と一緒におめかしした女の子が、夜こっそり出掛けたのは、何とも楽しげな秘密のパーティー。子どもの頃のワクワクドキドキがよみがえる、夢いっぱいの愛らしい物語。

最終更新:7月18日(月)11時56分

沖縄タイムス