ここから本文です

Brian the Sun、メジャーデビューツアーの一幕で見せたバンドの本質/ライブレポート

MusicVoice 7/18(月) 6:51配信

 6月1日にメジャーデビューした、4人組ロックバンドのBrian the Sunが今月10日に、地元・大阪の梅田CLUB QUATTROで、全国ツアー『TOUR 2016「HEROES」』のファイナル公演をおこなった。メジャー1stシングル「HEROES」を引っ提げて、6月2日の兵庫・神戸VARIT.から、自身最大規模となる全国18カ所をめぐってきた。地元ステージで彼らは「4人揃ってこのステージに立てるか非常に不安だった。無事に立つことができました!」と喜びを語った。小媒体では去る6月18日に東京・渋谷CLUB QUATTROでおこなわれた東京公演を取材。メジャーデビューという節目で、バンドが新たに迎えた進路の序章であり、まさしく今後の彼らの動向を占う試金石ともいえるこのツアーの東京公演の模様をレポートする。

■彼らが演奏することが、新たな刺激を生み出す

 定刻が訪れ、会場が暗転した後に会場に流れたのは、繊細なドラムのリズムと、ギターのアルペジオ、そして素朴な女性の歌声だった。そこにあふれていたのは、観衆がライブを楽しむべく「やってやるぜ!」とばかりに意気込むような緊迫した空気ではなく、まるでファンタジーの序章を示す情景のようだった。そして拍手とともに4人がステージに現れると、その情景はフェードアウト。「お待たせ、Brian the Sunです。よろしくお願いします」と森が一言、素朴な挨拶を告げ、2015年にリリースされたミニアルバム『シュレディンガーの猫』からのナンバー「同じ夢」で、彼らのステージはスタートした。

 ゆったりとした8ビートに乗ったギターのハーモニーは、Aメロでははっきりとした進行感を見せず、なんとなくブルージーで浮遊感のある雰囲気を曲調に与える。そして一気に、サビの最もキャッチーな部分へと観衆の気持ちを引き込んで、会場での彼らの存在感を絶対的なものへと変えていった。その空気は続く「グラストライフル」から、「彼女はゼロフィリア」、そしてアクティブな「アレカラ」と、リズムが活発に、そして違う形に変化していく中でどんどん色彩感を増し、ステージでの彼らの存在感をより強調していった。

 「最高やな…OK!もう今日が最高な日であることは、約束されたわ!」徐々に熱気を帯び始めた会場の空気を感じ取り、森が言葉を吐いた。さらに観衆の気持ちを引き寄せようと、一転して雰囲気を変えたナンバー「Noro」へ。その怪しいリズムに、聴く者は体を「揺らされている」ような感覚になる。白山と田中が成すシャープなリズムセクションの上に、エコーの効いた森のボーカルと、小川のブルージーなギターが絡み、ロックならではのけだるさ、危なさのような空気を会場に満たしていく。何の変哲もない、「ロックらしい」常套句的な雰囲気の数々が、彼らが演奏することで新鮮な刺激となり、聴く者の耳に浸透していった。

■様々な面を一つにした一曲

 徐々に大きな盛り上がりを見せてきた中盤では「Suitability」「チョコレートブラウニー」のような疾走感のあるナンバーで、フロアの観衆の動きをより大きくしていく。さらにこの日は、マーチのリズムから始まる、少し哀愁味を加えたバラードの新曲も披露された。速く、そして遅く、リズムを様々に変え、ハーモニーにも多彩な変化を凝らしながら展開していく彼らのナンバー、そしてこのライブ。それは奔放な動きをしているようにも見える一方で、まったく不自然さが感じられなかった。それ故に観衆は、その成り行きをすんなりと受け入れていたようだった。

 さらにこの時、ステージ中央にピアノが置かれ、バラード「はちみつ」へとつなげられた。森はこのナンバーを東日本大震災の際に作った曲であることを明かし「当時は自粛とか、逆に『それでもやるぞ』と言ってライブをやる奴とか、いろんな反応が見られました。そんななか僕は、自分にとって一番リアルなことをするべきだと思って、この曲を書きました」と、大惨事の中でこの曲を書く決意をした経緯を明かした。

 そのいきさつに込められた思いも影響してのことか、ここまで彼らの様々な一面、様々な色を見せていたそれぞれの曲が、静かに響くピアノの音色でつづられたこの曲によりつながり、意味を成していくようにも見えた。さらに続いた「Laika and Hz and contrast,」のハーモニーは、この日のステージの道筋をさらにはっきりと表したようにも見えた。

■改めて感じさせられる「ロックバンド」であるという本質

 後半を迎え、彼らのプレーにはもう迷いが感じられなかった。怒涛のように「パワーポップ」から疾走を始め、会場を熱い空気で満たしていく。時に見せる浮遊感のあるハーモニーだけでなく、熱いスピリッツを込めたアクティブなパワー感など、ここで見えた様々な要素がパズルのピースのように集まり、改めて彼らが「ロックバンド」であることを示しているようにも見えた。そして途中、改めて彼らの新たな道のりでの躍進を誓うかのごとく、メジャーデビュー曲「HEROES」を披露しながら、ラストは「都会の泉」を披露しステージを降りた。

 さらにアンコールに応え再びステージに登場した4人。実はこのアンコールのセットは、誰もが事前に知らされていない、この時初めて決められたセットだった。森が観衆にも「どんな曲を聴きたい?」と訪ねるなど、アットホームな空気が流れる。そして最後にありったけの力を込めるように「藍色に。」「ロックンロールポップギャング」「君の声」という3曲を披露し、この日を締めくくった。多くのツアーとライブイベントで培ったその器は十分ともいえるBrian the Sun。果たして今後彼らは、その中身をどう充実させていき、バンドとしての姿を見せていくだろうか?その真価を問われるのは、まさしくこれからだ。(取材・桂 伸也)

 ◆Brian the Sunとは 森良太(ボーカル、ギター)、白山治輝(ベース)、小川真司(ギター)、田中駿汰(ドラムス)の4人からなるロックバンド。森と白山を中心に、大阪で2007年に結成し、10代のアーティストのみによっておこなわれるロックフェス『閃光ライオット』に出演、準グランプリを獲得し頭角を現す。その後はリリースを続けながらツアーや数々のロックフェスに出演、着実にその活動範囲を広げ、2016年1月にメジャーデビューを発表した。

最終更新:7/18(月) 6:51

MusicVoice