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超大型航空機の時代は終わったのか? エアバスが発表した「A380減産」の背景と経緯を解説 【コラム】

トラベルボイス 7/18(月) 16:00配信

【秋本俊二のエアライン・レポート】

7月12日、航空機大手のエアバスから注目すべき発表があった。「総2階建て機A380を減産する」というのだ。現在の月産3機体制を、2018年からは月産1機に。エアライン各社が超大型機で旅行者にゴージャスなフライトを提供してくれた時代は、もう終わってしまうのか?

【航空各社のA380機体や機内の様子】

エアバスとボーイングで戦略が対立

A380が世界デビューを果たしたのは2007年10月。シンガポール航空のシンガポール~シドニー線でベールを脱ぎ、人々は「新しいヒコーキ旅行の時代」に大きな期待を寄せた。“空飛ぶ豪華ホテル”の異名をもつように、その一番の特徴はスケールの大きさである。A380が空港に到着し、所定の駐機スポットの収まると、近くにいる他の旅客機がどれもまるで小さな子供のように見えた。

近未来の航空需要についてエアバスは当時、ライバルのボーイングと見解を異にしてきた。これからは都市間を直接結ぶ「ポイント・トゥ・ポイント(PtoP)」型の需要が高まる。そう予測したのはボーイングだった。

都市と都市の間を何便も飛ばすには、当然運航コストが安い、高効率の機材でなければならない。そこで開発を進めてきたのが、燃費効率を従来機に比べ20%高めた次世代中型機787である。これに対してエアバスは、大空港を拠点に周辺都市へ車輪のスポークのように放射線状にネットワークを広げる──。そんな「ハブ・アンド・スポーク」型で航空市場は発展を続けると考えた。各国の主要都市間は超大型機A380で一度に大量の乗客を運び、ハブ空港からそれぞれの目的地へはそこで小型機に乗り継いで移動させるというスタイルだ。

両社の主張については、賛否が分かれた。目的地までダイレクトに飛べるほうが絶対にいいと、普通は考えるかもしれない。「乗り継ぎは面倒だし、そのぶん余計に時間もかかるから」と。しかし一方で、フライトは決して単なる移動の手段ではないという意見もあった。

たとえばアメリカやヨーロッパへの1週間程度の旅行で、往復にかかる20時間以上を「単なる移動」と割り切ってしまうのはもったいない。1週間のうちの、貴重な1日である。「その時間も旅のひとときに含まれている」という発想に立ってみると、フライトもできる限り楽しく快適なものであってほしい。ハブ空港へ着いてから目的地へ向かう小型機でのフライトについては単なる移動だとしても、主要都市間を結ぶ10時間以上の長距離フライトでは、従来にはなかったエレガントな空の旅を提供したい──。それがA380を生み出したコンセプトだったのだ。

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最終更新:7/18(月) 16:00

トラベルボイス