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女性に多い「切れ痔」対策 手術より便通コントロール大切

山陽新聞デジタル 7月18日(月)12時30分配信

 女性に多い肛門の病気「切れ痔と便秘」について、チクバ外科・胃腸科・肛門科病院(倉敷市)の竹馬彰理事長に寄稿してもらった。

 今回から5回にわたって特に女性に多い「相談しにくいおしりの話」をしてみたいと思います。

 第1回は「切れ痔(じ)」です。病名は「裂肛」です。

 多くの方が1度や2度ひどい便秘になって便が出た後肛門が痛くなったり出血したりしたことはあると思います。特に女性には便秘で困るという方が多いと思います。

 切れ痔は例えて言うならけがのようなものです。大きな便や硬い便が出た時に肛門が切れてしまうのはある意味しようがありません。まずは便秘にならないように気をつけることが一番です。たまたま切れてしまい痛みがつらい場合には軟膏(なんこう、特に注入するタイプ)を使うと良いでしょう。

 それでも便秘気味でしょっちゅう切れて痛くなる場合は酸化マグネシウムなどの軟便剤や緩下剤の力を借りて便を軟らかめにして軟膏を用いれば多くの場合傷は治っていきます。

 しかし、あまり頻回に切れ痔を繰り返していると次第に傷が治りにくくなり慢性化してきます。図にお示ししているのはその慢性化した「切れ痔」です。

 まず切れ痔の傷が慢性化すると傷が深く、硬くなって「肛門潰瘍」という状態になります。常に傷の奥に肛門括約筋という筋肉が露出した状態になるので便が出るたびにかなり痛みを感じます。そしてさらに繰り返していると傷の外側が腫れて「みはりイボ」といういぼ痔のような腫れが出てきます。肛門の外が腫れて出っ張ってくるので「いぼ痔」だと思っている方も多いです。

 また傷の内側が腫れて肛門のなかに「肛門ポリープ」ができてくることもあります。大きくなると排便の時に肛門の外に出てくるのでこれも「いぼ痔」と思ってらっしゃる方も多いです。

 このような「慢性裂肛」の状態になってくると日常生活でも何かとうっとうしく排便のたびに痛みを感じる場合も多くなってきます。「慢性裂肛」でも多くの場合は便通をコントロールし軟膏を用いることで自覚症状は楽になることが多いですが、痛みが排便後30分以上続くとか出血も多くなったとかいう場合には手術をしたほうが楽になることも多いです。

 手術にはいくつか方法がありますが女性の場合はほとんどが潰瘍化し硬くなった傷を切除し手術時に肛門を指で若干広げるように伸ばすことで十分です。あとは手術でできた傷に皮膚が張り治ってくるのを待つことになります。おおよそ1カ月ぐらいで傷は治ってきます。

 ただし、切れ痔の場合手術をしたからといって二度と切れなくなるわけではありません。

 冒頭にも申し上げたようにけがと同じですから硬い便や大きい便が出るとまた切れてしまうことはあります。手術後の便通のコントロールが大事です。

 ですから切れ痔の場合にはよほど慢性化するとか症状がつらい場合以外には安易には手術をお勧めしないようにしています。日頃のケアが大事ということです。

 次回は「妊娠・出産にまつわるおしりの話」をしてみたいと思います。

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 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院(086―485―1755)

 ちくば・あきら 倉敷天城高、香川医科大(現・香川大医学部)卒。栃木県立がんセンター、恵佑会札幌病院を経て、1992年、チクバ外科・胃腸科・肛門科病院に勤務。2012年8月から現職。日本大腸肛門病学会指導医、外科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医。53歳。

最終更新:7月18日(月)12時30分

山陽新聞デジタル