ここから本文です

[社説]暴力根絶を口実にTHAADの反発を抑え込もうというのか

ハンギョレ新聞 7月18日(月)7時0分配信

 案の定、政府がまた「暴力根絶」攻勢に乗り出した。15日、慶尚北道星州(ソンジュ)を訪問した黄教安(ファンギョアン)首相に生卵と水の入ったペットボトルを投げた星州郡民たちに対し、慶尚北道警察庁が大規模なチームで捜査に着手した。警察は暴力に加担した住民を見つけ出し、暴力行為処罰法などで厳しく処罰する方針を明らかにした。政府のこのような行動は、過ちを犯した側がムチを持つのに他ならない。高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)配備に対する住民の反発を公権力と法を前面に掲げて抑え込もうとする見えすぎた戦略だ。

 星州郡民の激しい反発は政府の一方通行の国政運営からして、予期されていたものだった。国民と一言の相談もなくTHAAD配備を決定しておいて、住民に黙って受け入れることを求めること自体が間違っている。黄首相が星州住民説明会に訪れるなら、その程度の反発は予想すべきだった。生卵や水の入ったペットボトルではなく、それ以上のものを投げつけられても甘んじて受け止めなければならなかったはずだ。

 星州郡民の抗議行為が25人もの人員でチームを構成し、大々的な捜査を行うようなものなのかも疑問だ。道警察庁は、黄首相が乗った車が約6時間もの動けなかったことに対し、監禁罪を適用する意向を明らかにしたが、警察内部でもやりすぎとの声があがっている。警察の首長であるカン・シンミョン警察庁長が「移動路を遮られただけで監禁はなかった」と発言したではないか。

 THAADの配備は住民たちの生命と生活に影響を及ぼす重大な事案だ。住民がその危険性を心配して配備に反対するのは、十分理解できる。政府はTHAADのレーダーから出る電磁波が半径100メートルの外では有害でないと主張する。しかし、米陸軍本部のレーダー運用規程によると、THAADのような高出力の電磁波を放出するレーダーの場合、半径100メートル以内は人の出入りを禁止する区域で、100メートルから3.6キロメートルまでは、許可なしの立入を制限する区域と規定している。半径3.6キロメートルでは、星州邑を含めた主要地域が範囲内に収まる。星州郡民は「星州マクワウリ」はもう終わりだと怒りを露わにしている。にもかかわらず、政府は(対策もなく)推し進めているだけだから、住民が反発するのは当たり前だ。

 朴槿恵(パククネ)大統領は、このすべての事態の原因を提供した当事者なのに、自分とは無関係なことのように、「国民団結」を強調しているだけだ。17日にも朴大統領は(アジア欧州会合首脳会議が開かれている)モンゴルで、「首相を中心に、国家安保に全力を尽すように」と指示するメッセージを送った。国家安保を前面に掲げてTHAAD配備への反発を抑え込んでいるのだ。ASEMに出席するため出国する前も、朴大統領はTHAAD配備に対する反発を「不要な論争」と規定した。耳をふさいで自分の言いたいことだけ言い張る大統領こそ、国論分裂の張本人である。 政府は公権力で反対の声を抑え込むことに力を入れるのではなく、THAAD配備が本当に国益のためのものなのか、今からでも再度検討しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月18日(月)7時0分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。