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百戦錬磨 中西文行に聞く今月の相場格言「卵が生まれるまで卵を買うな」

ZUU online 7/19(火) 9:10配信

■「梅雨の期間が平均より短い年は梅雨の間に株価上昇」のアノマリー

5月からクールビズが始まったが、5月中旬以降、例年になく全国的暑い夏日が続いていた。熱帯夜(日最低気温が25℃より下がらない日)の日数は、70年代から増加傾向にあるが、東京では10年の56日をピーク(過去最高)に減少し11年、12年と49日、13年39日、14年29日、15年は8月7日まで猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)が連続8日と観測史上最多を更新したものの、その後暑さは和らぎ熱帯夜26日だった。

過去の気候変動サイクルから見て16年は15年より残暑で熱帯夜が増えると予想する。年初から5月末の台風発生数は、11年から13年は各2、14年5、15年7に対して16年は5月11日現在ゼロと1998年以来の少なさである。1998年は全国的に暖冬で、春は記録的な高温、7月も高温多湿だった。

気象庁は5月12日発表のエルニーニョ監視速報(次回は6月10日14時発表)で、14年夏に発生したエルニーニョ現象(暖冬の年は冷夏の傾向)で14年、15年ともに冷夏の可能性があると発表したが、実際は猛暑だった。気象庁は、エルニーニョ現象(暖冬)が16年春頃に終息し、夏はラニーニャ現象が起こる可能性が高いと発表した。ラニーニャ現象では猛暑になる。エルニーニョとラニーニャが同年中に起こる異常気象だ。

過去のラニーニャ現象発生時期と日経平均株価の動きを重ねると、ラニーニャ現象発生時期に株価が上昇する確率が高い。

気象庁が5月25日(次回6月24日14時)に公表した「3ヵ月予報」によれば6月から8月までの天候は、北・東日本で平均気温が平年並みまたは高い確率がともに40%、西日本で平均気温が高い確率が50%で、降水量は北・東・西日本で平年並みまたは高い確率がともに40%である。

降水量となれば、梅雨で、10年以降の関東甲信地方の梅雨入り梅雨明けの時期を見ると、6月初旬に梅雨入りし7月初旬に梅雨明けである。15年は6月3日頃に入り7月10日頃に明けた。「梅雨の期間が平均日数(関東甲信は41日)より短い年は、梅雨の期間に株価が上昇する」とのアノマリーもある。

■不透明な政局や為替・増税問題 サマーラリーは輸出より内需

さて、気候は暑いと予想するが、企業業績は寒いようだ。17年3月期の上場企業の経常利益見通しは、製造業は0・5%減益、非製造業は7・5%増益、全体で2・7%増益とほぼ横ばいである。7月1日発表の日銀短観(6月調査)は、厳しい内容となろう。

主要企業の17年3月期計画の前提レートは1ドル105円~110円、他方、3月調査(日銀短観)の大企業・製造業の想定レート1ドル117円46銭と比較して、円高の前提であり大企業の業況判断は悪化していよう。為替に加え、参議院選挙や消費税、熊本地震などの影響も不明となれば、3月調査より厳しくて当然で、3~5月期に続き7月下旬から4~6月期の決算発表が始まるが、油断はできない。サマーラリーは輸出関連より内需関連となろう。

2月16日から日銀のマイナス金利政策(一部分の当座預金にのみマイナス金利を適用)が実施され、民間銀行は日銀への当座預金を減らし、東京五輪のバブルを狙う不動産などへの貸出を増やすだろう。全国銀行協会の貸出を見ると、全国銀行の貸出金は4月末時点で、前年同月末比12兆862億円増(2・7%増)で、前年同月末比で増加は56カ月連続。

そのうち都市銀行(5行)は、前年同月末比1兆3242億円増(0・7%増)と前年同月末比で増加は42カ月連続と着実に追加緩和の成果が出ているようだ。6月以降は、GDP600兆円に向けた「成長戦略」の対象となるIoT、AIなど第4次産業革命や観光立国など関連業界への貸出が増加と考える。ただ、成長戦略自体は、昨年その概要が報道されており、関連銘柄の株価に織り込み済みと相場の物色対象外だろう。

■噂で関連銘柄仕込むのは勇み足 猛暑になってからの投資でも十分

サマーラリーの投資対象は猛暑関連と考える。サマーラリーの定義は「5月あるいは6月中に付けた安値から7月~9月中の高値まで」である。この時期は、多くの投資家が夏休みに入り、市場売買代金が減少し、物色の矛先は中小型材料株へと流れやすい。株価材料は寒い「業績見通し」ではなく熱い「猛暑」だろう。

12月決算企業なら6月中間期の配当狙いもある。また、消費財メーカーが多くNISA口座が好む株主優待の企業も目立つ。7月から本格化するサマーセールのボーナス・中元商戦は、大手企業の3年連続の賃上げと伊勢志摩サミット効果の訪日客増加などで好調を見込み、猛暑関連に注目したい。

「卵が生まれるまで卵を買うな」、卵(新製品・猛暑)が生まれるという噂だけで、関連銘柄を買ってはならない。噂ほどアテにならないものはないからだ。関連銘柄を買うのは、卵が生まれてからでも遅くはない。

5月に入りマスコミは、今夏は暑いと報道していたが、噂の領域、まだ夏場前の話。天気予報は絶対ではない。7月、猛暑になってから投資しても遅くはない。関連各社の9月中間決算の発表は10月下旬からだからだ。

7月の日経平均株価の月足は陰線になる傾向にあり、月前半が勝負である。

中西文行 株式会社ストラテジスト
【プロフィール】
法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。ロータス投資研究所代表。(記事提供:株主手帳7月号)

最終更新:7/19(火) 9:10

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