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状況応じ「自死」を使用 「自殺」表現巡り 県内自治体

上毛新聞 7月19日(火)6時0分配信

 「自殺」という言葉を巡り、状況に応じて「自死」と言い換える自治体が出ている。群馬県や県内12市は原則として自殺を使っているが、遺族への配慮を理由に自死を使うとする自治体もあった。県内の民間団体や県外自治体では自死を原則とするケースもある。遺族の支援団体からは状況に応じた使い分けを求める声が上がっている。

◎支援団体は使い分け3パターン提示

 県はガイドラインなどは設けていないが、遺族の心情を考慮し、表現を工夫している。県こころの健康センター(前橋市)のパンフレットでは、遺族の交流会を紹介するのに自死の表現を使用。「その時にふさわしい表現を選ぶようにしている」という。

 高崎市は「個別の相談事案では自死を使う」、伊勢崎市は「状況に応じて自死にする」などとしている。ただ、統一見解を示している自治体はなく、実務上は自殺を使っている場合がほとんどだった。桐生市は「国が政策の名前などを『自殺』と表記している」と説明。藤岡市は「遺族団体などから要望があれば議論する」とした。

 一方、島根県は2013年4月から法令用語や統計を除き、公文書や啓発文、ホームページ上では自死に統一。鳥取県は同年7月から、宮城県は14年1月から同様に対応している。いずれも遺族団体の要望を踏まえた措置で、言い換えによる仕事上の不都合は生じていないとしている。

 こうした動きは民間レベルでも出ている。群馬司法書士会は公開講座やセミナーの名称などに自死を使っている。司法書士は債務整理などで関わることもあるといい、「追い込まれて死を選ぶしかなかった状況を言い表すため」と説明している。

 自死に関しては「自殺防止の上で問題が生じかねない」といった意見もある。全国自死遺族総合支援センター(東京都)は13年、自死への一本化に反対し、使い分けの指針を作り、全ての都道府県などに送った。 (1)自ら命を絶つという行為を指す場合は自殺 (2)「自殺した」ではなく「自殺で亡くなった」と表現 (3)遺族について記述する場合、自死を使う―を柱とする。同センター事務局は「単にどちらかに統一するのは乱暴。総合的な観点から丁寧に使い分けてほしい」とした。

最終更新:7月19日(火)6時0分

上毛新聞