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人間椅子、夏の全国ワンマン 和嶋「脂が乗っております」

MusicVoice 7/19(火) 15:09配信

 3人組ロックバンドの人間椅子が10日、東京・新宿ReNYで夏の全国ワンマンツアー『地獄の道化師』の東京公演を開催した。新旧幅広い楽曲を披露。和嶋慎治(Gt.Vo)が「いろんな所を回って来て、相当脂が乗っております」と自信を覗かせたように、これまでの集大成を見せるような圧巻のパフォーマンスで観客を魅了、新宿の夜を、地獄のように真っ赤な熱気で彩った。

 今回のツアーは、6月29日の長野公演を皮切りに全国8公演をおこなうもので、8月9日に仙台、8月11日に青森でファイナルを迎える。この日の東京公演は6公演目で、ツアーラストに向けて更に勢いを付ける熱気に満ち溢れたライブとなった。

 豪勢なシャンデリアが吊り下がる半円状の会場。黒いツアーTシャツを着た観客で埋め尽くされた会場を、2階席のホール側壁面に設置された電光掲示板の“Ningenisu”という文字が、赤く照らす。恒例のSEである「此岸御詠歌」が会場に流れてくると、メンバーがステージに現れ、歓声が上がった。

 冒頭から息の合った鈴木研一(Ba.Vo)とナカジマノブ(Dr.Vo)の織りなすグルーヴと、咆哮する和嶋のチェリーレッドの「ギブソンSG」が相まり、会場は地獄さながら観客の燃えるような熱気で満たされた。和嶋は「暑い中、どうもありがとう。僕らもツアーで色んな所を回って来まして、今日は相当脂が乗っております! 最高のパフォーマンスをお見せできると思います!!」と冒頭の演奏で確信させ、今夜の最高のコンディションに自信を覗かせた。

 さらに「『地獄の道化師』ツアーはリリースツアーではないので、色んな時代の曲を散りばめてやっていこうと思ってますよ」と語り、今夜は「人間椅子」の長い27年間のアーティスト活動を総括するようなライブとなることを宣言。

 そして、披露された「天体嗜好症」では、和嶋が最近購入したというテルミン(編注=ロシアの電子楽器でアンテナを使って音程を調節する)を使用。観客は、一気に宇宙空間へとワープしたような感覚を味わい、恍惚感に酔いしれた。和嶋は「レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジさん(Gt)で、有名でございますね」と“新兵器”を紹介した。

 鈴木が「プロになると、テルミンだけでメロディを奏でられるらしいですよ。和嶋くんは、どうなんですか?」と和嶋がどれくらい使いこなせるのかを尋ねると、和嶋は「全然まだまだですよ。あと3年くらいかかりますよ。そしたら、メロディも多分やれると思います」と答え、「3年もかかるの?!」と鈴木は厳しいプロとしてのテルミン奏者への道に驚嘆した。

 続いて「狂気山脈」を演奏。鈴木が「和嶋くんのギターが鳴きまくっております。あんなソロ聴いたら、なんか愉しくなったね」と演奏後に絶賛する程のギターソロを和嶋が魅せ、観客からも歓声が上がった。

 和嶋は「僕ら、文芸ロックという感じは1stアルバムから、ずっとやってます。太宰治さんの『人間失格』から始まりね、2ndアルバムは、『桜の森の満開の下』、坂口安吾さんとか。最近、その良さを改めて発見しましたね。ネタに詰まりません。我々、死ぬまでバンドをやるつもりですから。あと20枚はアルバム出せると思いますよ」と改めて文学作品に刺激され、まだまだ創作意欲があふれ出ていることを明かした。

 和嶋は、ダブルネックギターのSGに持ち替え2ndアルバム『桜の森の満開の下』より「夜叉ケ池」を披露。12弦の美しいアルペジオから、曲は転調し、鈴木の腹に響くベースラインとノブのバスドラが会場を揺らし、和嶋のダブルネックギターのソロが重なる。音のカオスはグルーヴを生み出し、高揚感を煽り、会場のボルテージも地獄のマグマのように沸点を超えた。

 会場から「アニキ―!」というコールが巻き起こり、ノブが「俺が歌ったら盛り上がってくれますかー?」と投げかける。観客が歓声と拍手でレスポンスし、2月に発売された19thアルバム『怪談 そして死とエロス』より、ノブがリードボーカルをとる「超能力があったなら」を演奏。和嶋と鈴木もステージ中央で背中を合わせてプレイし、観客も拳を上げ盛り上がった。

 最後は英バンドBUDGIEの「BREADFAN」を和嶋がオリジナル歌詞に差し替えた「針の山」を演奏し、本編を終え、歓声に送られメンバーはステージを去った。鳴りやまない拍手は、そのままアンコールの手拍子となり地獄の扉が再び開かれるのを待つ。

 ツアーTシャツに着替えた和嶋とノブ、白装束になった鈴木を、再び大歓声が迎え
る。アンコールも本編の勢いそのままにテンションを上げたまま、更にギアを1段階上げたかのようなステージが展開される。超絶プレイと体を突き動かすグルーヴが、再び会場に地獄のカマの熱気を持ち込む。観客は、最後まで疲れを見せず飛び跳ね、人間椅子の熱い演奏を楽しんだ。

 今年は8月6日に茨城県・国営ひたち海浜公園で開催される『Rock in Japan Festival 2016』と、8月13日に北海道・石狩湾新港樽川ふ頭で開催される『Rising Sun Rock Festival』への出演も決定している人間椅子。結成30年を目前にバンドは最盛期と言ってもいいほどライブバンドとして円熟味を増し、その圧巻のパフォーマンスをこれからさらに昇華させていくと思うと楽しみでならない。(取材・松尾模糊)

最終更新:7/19(火) 15:09

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