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X線天文衛星「ひとみ」はなぜ失敗したか(3) ISASの独自性とOne JAXA

sorae.jp 7月19日(火)18時16分配信

宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線天文衛星「ひとみ」喪失事故に関する解説の3回目となる今回は(だいぶ間が空いてしまったが)、「ひとみ」を開発した宇宙科学研究所(ISAS)について見ていくことにする。

ISASは実質「国立宇宙大学」

JAXAは2003年、宇宙科学研究所(ISAS)と航空宇宙技術研究所(NAL)、そして宇宙開発事業団(NASDA)が合併して誕生した。その中でISASだけが、JAXA内部の組織としてその名を現在もとどめている。

異なるのは組織名だけではない。JAXAの中でISASだけが、研究員は「教授」など教員としての肩書であり、実際に総合研究大学院大学宇宙科学専攻として、各研究室で大学院生が学んでいる。ISASはJAXAの1組織でありながら、その実態は「国立宇宙大学」に近い。そして、その計画管理や予算もJAXAの中では別扱いだ。

「おこづかい制」のISAS

JAXAの人工衛星開発は、国の宇宙開発戦略本部が定めた宇宙基本計画で定められている。たとえば「温室効果ガス観測衛星」は宇宙基本計画に、開発目的と、2017年度に2号機、2022年度に3号機を打ち上げることが明記されている。基本的な考えは「国が必要とする衛星を、必要な時期に用意する」というのが仕事の進め方だ。
一方、ISASについては「ボトムアップを基本としてJAXAの宇宙科学・探査ロードマップを参考にしつつ、今後も一定規模の資金を確保し、推進する」と書かれている。ボトムアップというのは、国が指示するのではなくISASが自分で考えろという意味だ。スケジュールも「中型衛星」「小型衛星」とだけ書かれているが、これはそれぞれ打ち上げ用にH-IIAロケットとイプシロンロケットを用意するという意味で、どんな衛星や探査機を開発するかはISASが決める。そして予算は「一定規模」とあるが、170~250億円程度で推移している。

ISASは、与えられた仕事をしているのではなく、与えられた予算の中で研究するという裁量を与えられている。ならば「ISASの予算が足りないために信頼性が犠牲になるのではないか」という指摘は的外れだろう。予算が不足しないようにあらかじめ目標を抑えたり、開発途中で一部を諦めるといった判断もISAS自身がするべきなのだ。いわば「おこづかいの範囲内で買い物してきなさい」と言われたようなもので、「欲しいものを買ったら帰りの電車賃が足りなくなった」というのは、理屈に合わない。

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最終更新:7月19日(火)18時16分

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