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「3つのE」を駆使してBrexit後の混乱に立ち向かう若者たち

ZUU online 7/20(水) 6:10配信

英国EU離脱の余波がいまだに収まらない。実質的にまだ2年あるにもかかわらず、離脱決定直後はポンドおよび銀行株に売りが殺到し、いまだに安定の兆しは見えていない。

混乱が英国内のみならずEU全体を覆う中、それに翻弄されながらも立ち向かおうとする若者たちがいる。「3つのE」を駆使して20代の若者たちだ。

■荒波に飲み込まれる若者たち

彼・彼女らは、格安航空会社「EasyJet」でやすやすと国境を越え、「European Union」圏28カ国での国際交流を目的とした交換留学制度「Erasmus」を活用して大学を卒業している。

国籍を持つ国で生まれ育ち、別の国に留学して教育を受け、さらに第3の国で仕事を見つけて暮らすことは、ごく自然なライフスタイルである。そこで培った人脈と世界を股にかけた行動力が、彼らの力の源泉であったのだ。

しかし、英国がEUを離脱するとなれば、彼らの最大の強みに暗雲が立ち込めることになる。International NewYork Timesの記事によれば、パリの大学で科学を専攻しながら同時にスウェーデンとドイツの大学でも学んだ26歳のフランス人男性は不安を打ち明けている。

EUの一員だった英国が自国だけで我が道を行こうとするならば、グローバルな活動をしてきた若者たちがこれまで享受してきたトップクラスの教育と多様な欧州世界へとつながる扉が閉じられてしまう可能性が大きい。それはすなわち、欧州統一市場における映像・音楽・通信分野からも締め出されることを意味するのだ。

また、彼の友人でロンドンの食料品通販サイト運営会社に勤める24歳の女性は、同じ記事でこのように話している。「私が欧州に暮らす人間として一番強く感じるのは、運命共同体意識です。具体的に言えばそれは私たち全員が当事者意識を共有するということであり、EUを通して共に利益を分かち合うということなのです」

■エラスムス計画の不透明な未来

今回の英国のEU離脱決定は、EU域内の若者たちに衝撃と動揺を与えた。国民投票前の調査によると、18歳から34歳までの若者のうち、57%が残留を希望していたのだ(55歳以上は「離脱」を支持)。

英国とEU諸国との交渉の行方が不透明である中で、貿易や旅行に関しては支障がなさそうだが、これまでと同様にエラスムス計画で英国とEU内を自由に行き来しての教育を受けられるかは疑問だ。

学生と教員の交流、高等教育機関間の多国間協力、欧州の大学における教育の革新と、多くの目的を持つエラスムス計画だが、その高邁な理念が、英国の離脱によって損なわれる可能性は否定できない。

パリの大学で社会学を研究するマガリ・バラトア氏が語るとことによると、エラスムス計画を利用した大学卒業生は、現在では提携する全大学卒業生の中のわずか5%まで落ち込んでおり、この交換留学制度自体に魅力を感じる学生が少なくなってきているという。

■混乱を利用する他国の反与党勢力

前出のフランス人男性は、エラスムスを通して知り合った友達と、3カ月から半年ごとに顔を合わせる。待ち合わせ場所も、ベルリン、ブリュッセル、ブダペストなど1国に縛られることはない。彼らもEUが完全無欠な共同体であるとは考えておらず、今回の投票を機会に、改革が行われることを望んでいる。

しかし、その一方でこうした混乱をいいことに、自国を都合のいいように誘導しようとする極右政党が力を増しているという。若者たちは、ル・ペン党首をはじめとするフランス国民戦線のリーダーたちが、この混乱を政治的に利用し、自分の党に有利な方向にフランスを誘導しようとしていることに危機感を覚えている。

「私の曾祖母や祖母は、第二次大戦後の荒廃した欧州で露骨なナショナリズムの衝突に苦しめられてきた世代。われわれ若者は、欧州が再びあの50年前の状態に舞い戻ることは想像できない」

最後に、フランス人の若者は同記事でこのようにしめくくっている。

「私が13歳の時、学校でドイツ語を勉強するのを拒否したことがある。なぜなら、ドイツ語はナチスが使っていた言葉だからだ。しかし、私はエラスムスで多くの国の人たちと交流する中で、様々な国の事情について知ることができた。今、私もドイツ語を話す。それは、私ひとりの力ではない。EUがあったからこそできたことなのだ」
(ZUU online 編集部)

最終更新:7/20(水) 6:10

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