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台風で使えなくなった町営の小水力発電所、5年ぶりに運転開始

スマートジャパン 7月20日(水)9時25分配信

 北海道の北東部に位置する遠軽町(えんがるちょう)は東西・南北に約50キロメートルの広さがある。町内を流れる川の水を利用して「白滝発電所」が最初に運転を開始したのは、戦後間もない1952年のことだ。

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 ところが2011年9月に北海道を襲った台風による洪水のため、水車発電機や制御装置などが浸水して運転を続けることができなくなってしまった。発電所を運営していた遠軽町は自力で復活させるのはむずかしいと判断して、小水力発電で実績がある日本工営に設備を譲渡して運転再開を託した。

 水車発電機をはじめ設備を一新した白滝発電所は2016年7月2日に再び発電を開始して約5年ぶりに復活を遂げた。発電能力は260kW(キロワット)で、以前の220kWからパワーアップしている。年間の発電量は216万kWh(キロワット時)を見込み、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して600世帯分に相当する。

 発電した電力は全量を固定価格買取制度で売電して、収益の一部を遠軽町の地域振興に生かす方針だ。自治体が運営していた小水力発電所を民間に譲渡して固定価格買取制度で売電する全国で初めてのケースになる。

 白滝発電所は運転再開に向けて設備を全面的に更新・改修した。浸水して使えなくなった電気設備のほかに、老朽化した取水設備や導水路、水車に水を送り込むための水圧管路、さらに発電所の建屋も新設した。洪水の被害を再び受けないように、発電所の河川側に防水壁を設置して、水量を自動で制御する電動のゲートも併設している。

水量の変化に対応しやすい水車を選択

 復活した白滝発電所で注目すべき点は、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)の高さである。小水力発電の設備利用率は標準で60%程度だが、白滝発電所では95%にも達する。水車発電機の能力をフルに発揮できる状態になっている。

 高い設備利用率をもたらした要因として、水車発電機に「S型チューブラ水車」を採用したことが大きい。S型チューブラ水車はプロペラを回転させて発電する方式の一種で、プロペラの前後をS字状に水を流す構造になっている。

 小水力発電に適用する水車にはさまざまな方式がある。発電量を左右する水量と落差をもとに選択するのが通例だ。白滝発電所の水流の落差は10メートル程度で、水量は毎秒1立方メートル以上を見込める。こうした条件に合致したのがS型チューブラ水車である。

 以前は渦巻き状に水を取り込む「横軸フランシス水車」を採用していた。国内の水力発電所では最も多く使われているタイプで、落差が10メートルを超える場合に適している。特に水量が安定していると効率よく発電できる。白滝発電所では水量の変動があることから、変動の影響を受けにくいS型チューブラ水車を選択して効率を高めた。

 さらに従来よりも落差を大きくするために、発電所の建屋を半地下構造で建設して、水車発電機を低い位置に設置できるようにした。水車まで水を送り込む水圧管路は直径1.2メートルで、距離は515メートルに及ぶ。

最終更新:7月20日(水)9時25分

スマートジャパン