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【IFA原田茂行のテーマ株大捜査線】今月のテーマ:人工知能(AI)

ZUU online 7月20日(水)9時10分配信

■医療・市場分析分野で既に活用スタート 米各社は「AIアシスタント」を個々に開発

今年3月、人工知能(AI)の世界で1つの偉業が達成されました。米グーグルの囲碁ソフト「アルファ碁」が世界トップレベルの棋士を打ち負かしたのです。チェスや将棋と比べ手数が格段に多い囲碁では、AIがプロ棋士のレベルに到達するには10年程度の年月を要すると考えられていました。AIは人々の予想をはるかに上回る速さで進化しています。

こうした中で、政府が新たに掲げた成長戦略には、その重要な柱としてAIやロボットを駆使した「第4次産業革命」の推進を声高に唱えています。新聞紙面でも毎日のようにAIに関する記事が掲載されており、まさにAIブームの様相を呈している状況です。

AIの本格的な研究自体は1950年代に始まりましたが、コンピューターの処理能力が大幅に向上する一方で、従来のAIの進歩速度は非常に緩やかなものでした。こうした潮目に変化が起きたのは10年代に入ってからであり、特に、その起爆剤となったのが、深層学習「ディープラーニング」の台頭とビッグデータの存在です。

ディープラーニングとは、人間の脳の仕組みをモデル化した機械学習技術を指し、自らが学んで進化する革新的なAIです。あらゆる機器がネットに繋がるIoTによって収集されるビッグデータは近年大幅に増加しており、このビッグデータという格好の教材を手に入れたことでAIの学習速度は飛躍的に高まっています。

実際に医療の分野では、AIの活用により膨大な臨床データの中から研究者が見落としていた共通因子を見つけることが可能となり、難病の治療法や新薬開発の手掛かりが見つかるものと期待されています。また、病院の診察室でも「AI医師」が類似の症状を照らし合わせて診断を下し、人間の医師がセカンドオピニオン的に確認するようになっていくことが考えられます。

また、AIは市場分析やマーケティングにも活用され始めており、近い将来には企業の取締役会にAIが座り、まるで外部コンサルタントに見解を求めるかのようにAIに意見を聞くことが可能となるでしょう。

さらに、AIは身近なところでも既に活用されており、その代表例が「AIアシスタント」です。

このAIアシスタントとは、ユーザーが話しかけるとAIを駆使して質問に答えたり課題を処理したりする機能のことで、アップルは、iPhoneに「Siri」を既に搭載し、グーグルも「グーグル・ナウ」を導入済です。また、アマゾンは「アレクサ」、マイクロソフトは「コルタナ」、フェイスブックは「M」を、各社が個々に開発しています。

現在、AIの研究・開発は米国が先行していますが、ここにきて日本でも官民一体となってAIへの投資が一気に進んでいます。

■トヨタ自・UBIC等 開発に取り組む国内組

トヨタ自動車は、今年1月米国にAIを研究・開発する子会社を設立し、20年までの5年間で約10億ドルを投資する計画を立て、自動運転や高齢者の老後の生活の質を高めるロボット開発など幅広く人と協調できるAI技術の開発に取り組む計画を表明しています。

一方、ソニーはコンピューターが環境に応じて自らが考えて機器やサービスの仕様を示すAIを米ベンチャーのコジタイと共同開発する計画です。ユーザーが全く想定しないような最適解を見つけ出すことを目指しており、「好奇心を持つAI」であるとソニーは説明しています。

他方で、ビッグデータ解析サービスを手掛けるUBICは、ソフトウェアの不具合検査をするハーツユナイテッドグループと共同でAIを使ったネット上の書き込み監視サービスを開発しました。これにより悪意のある書き込みを瞬時で判断し、インターネット上での「炎上」を軽減させることができます。

AIの関連銘柄は、トヨタ自動車、日立製作所、UBIC、メタップス、ブレインパッド、データセクション、ロックオン。

野村総研によると、2030年には日本の労働人口の約49%がAIやロボット等で代替可能になると予測しています。AIが人間の仕事を奪うといったネガティブな話がとかく注目されがちですが、これまで人間の行ってきた雑用が機械に置き換われば生産性が向上し、その結果として社会全体の富が増えることでしょう。

近い将来、日本では少子高齢化を背景にした労働力不足が間違いなく進みます。不足する労働力の補完としてAIが果たす役割は非常に大きく、AIを上手く使いこなすことは日本にとって強力な武器になります。

人工知能の開発は、火や石器の発明、産業革命にも匹敵すると言われ、そして、その能力は、いずれ人間を超えるものと考えられています。しかしながら、私たちは決して人工知能を恐れるのではなく、その危険性と恩恵とを冷静に判断した上で、人工知能が切り開く人類の輝かしい未来に大きな期待をすべきであると思います。

IFA原田茂行氏
【プロフィール】
大和証券、SMBC日興証券、野村証券を経て株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルに所属し、IFAとして独立。日本証券アナリスト協会検定会員、囲碁三段。(記事提供:株主手帳7月号)

最終更新:7月20日(水)9時10分

ZUU online

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