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高層住宅向けの新型免震、骨組みと壁の相乗効果で振動制御

スマートジャパン 7月20日(水)6時10分配信

 2015年末に国土交通省が公開した「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策案」では、東北地方太平洋沖地震を上回る地震動の発生が想定されている。巨大地震では長周期・長時間の揺れが継続するため、居住者に多大な恐怖感を与えるだけでなく、柱や梁に有害なひび割れが生じるなど、建物の安全性を大きく損なう可能性が考えられる。

 一般的な地震対策技術には、建物基礎部や中間階に積層ゴムなどを用いて揺れを受け流す免震構造や、建物内部にダンパーを設置し、揺れを小さく抑える制振構造がある。しかし、高層住宅では、建物形状や敷地の制約により免震構造の採用が困難な場合や、ダンパー設置スペースが少ないため効果的な制振構造を構築できないなどの課題があった。

 そのため大成建設は、従来の柱、梁部材を高強度・小断面化した骨組みに、連層壁とオイルダンパーを組み合わせることで、高層住宅に適した新しい地震対策構法「TASS-Flex FRAME」を開発した。この技術を採用することで、免震構造に匹敵する優れた耐震性を実現しつつ、従来に比べ低コストでの建設が可能となるという。

 この技術は、地震の力を受け流す骨組みと地震エネルギーを吸収する頑強な連層壁の相乗効果で、地震の揺れを制御する構法だ。(図1)。建物低層部(建物高さの3分の1~2分の1程度)に従来よりも高強度で小断面の柱、梁部材を配置することで建物の変形性能を高める。骨組みがしなやかに変形することで免震構造のように揺れを受け流す効果を発揮する。また、免震構法より低コストでの建設が可能だ。

 さらに、建物中央コア部に設けた連層壁は、建物の変形を制御する心柱の役割を果たす。この効果により、連層壁全体で地震の揺れに抵抗することができる。また、連層壁間にはオイルダンパーを設置し、地震時に生じる連層壁の変形差をオイルダンパーの伸縮に置き換えることで、少ないダンパー台数でも地震エネルギーを効率よく吸収する。オイルダンパーはエネルギー吸収能力と耐久性に優れるため、長周期・長時間地震動に対しても有効に作用する。

 今後、同社は長周期・長時間地震動や巨大地震に対する高層建物の居住性、安全性向上のため、免震・制振システムに同構法を加えてラインアップをさらに充実させ、立地条件や建物規模に応じた最適な地震対策構法の提案を積極的に行う方針だ。

最終更新:7月20日(水)6時10分

スマートジャパン