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【インタビュー】さかなクンが“ギョ紹介”! 『ファインディング・ドリー』のすごさと魅力

cinemacafe.net 7月20日(水)20時0分配信

「ギョいしょっ」と言って腰掛けた途端、ノンストップで話し続けるのは微に入り細を穿った魚の知識。そのどれもが専門的なのにもかかわらず、魅力的な語りに思わず聞き入ってしまうのが不思議だ。

【画像】『ファインディング・ドリー』で日本版海洋生物監修を務めたさかなクン

日本でのディズニー/ピクサー映画興行収入No.1を記録した『ファインディング・ニモ』の続編として公開される『ファインディング・ドリー』。本作で声優と日本版海洋生物監修を担当しているのが、日本において魚にまつわることなら右に出る人はいないであろう、さかなクンだ。

シネマカフェでは、さかなクンにインタビューを実施。ところで、海洋生物監修って一体どういうことなの? そんな疑問から、さかなクンの目から観た本作の魅力まで、余すことなく“ギョ紹介”してもらった。

まずは、今回のさかなクンのクレジットとして記される「日本版海洋生物監修」。これって一体どういうことなの? と尋ねると、嬉々とした語り口でさかなクンは話し始める。「映画の中では、オーストラリアのグレート・バリア・リーフからアメリカの海までの大冒険が描かれていますが、そこで登場するたくさんの海洋生物がいます。ニモちゃんやマーリンさんたちのモデルであるクマノミちゃんの仲間をはじめ、ドリーちゃんのモデルにもなったナンヨウハギちゃん、エイ先生のモデルになったマダラトビエイちゃん、そしてマンボウちゃんや、マカジキさん、ミズダコのハンクさん。こういった海の生き物たちには、ナンヨウハギは“blue tang”、ミズダコの場合は“giant octopus”といった英名がついています。そのひとつひとつに、日本での呼び名である“標準和名”を申し上げさせていただきました」。

次から次へと飛び出してくる魚たちの名前にはさすがの一言。その知識量には、ピクサーのクリエイターたちも舌を巻いたそうだが、そんなさかなクンにとって、魚に夢中になったというきっかけになった生き物がいる。それは、子どものときに友達の描いたイラストをきっかけに知ることになったというタコだ。タコといえば、ディズニーアニメーションでは『リトル・マーメイド』のアースラなど、どちらかといえば悪役として描かれることが多いが、本作ではドリーと行動を共にするバディとして登場するハンクの大活躍が描かれる。さかなクンにとって、主要キャラクターとしてのタコの大抜擢は願ってもみなかったことなのでは? そう指摘すると、さらに表情を明るくして「どんな役であれ、タコちゃんが出ると、タコちゃん出たーー!! と大喜びしちゃうんですが、今回のハンクさんは、動きと言いタコちゃんの習性と言い、すばらしく表現されていました」と、そのクオリティの高さに笑顔を浮かべる。さらに、「例えば、ハンクさんは一匹狼的な性格で描かれていましたが、実際にタコは海の中でも孤独を愛する生き物で、群れは作らず、大抵は一匹で静かに暮らしてるわけですね」と、実際にタコの生態に基づいたハンクの描写について解説。ちなみにクールなキャラクターといえば、前作におけるツノダシのギルもお気に入りだそうだ。


東京海洋大学名誉博士をはじめ、様々な肩書きを持つさかなクンだが、イラストレーターもそのひとつであり、いまにも動き出しそうな色鮮やかな魚たちの姿には、魚に対する確かな知識と愛を感じさせ、観るものを惹きつける魅力がある。そんなイラストレーターとしてのさかなクンの目からは、ピクサーが描く魚たちの姿はどう映るのだろうか? 「例えば、マーリンさんやニモちゃんのクマノミって、“ワインディング”と呼ばれるように、泳ぐときに必ず体をくねくねさせて泳ぐんですね。その動きからか、クラウン(=道化師)フィッシュ、アネモネフィッシュなんて呼ばれ方もしているんです。一方ドリーちゃんは、体を真っ直ぐさせて、胸ビレを、鳥さんのはばたきのように上下に動かして泳ぐんですね。映画では、そういった細かい動きや泳ぎ方も表現されています。今回の作品でも、クリエイターの皆さんが足繁く水族館に通って、お魚をすっギョく観察されていたと伺って、そういったことがあの自然な動きとか泳ぎ方、表情とかが、生き生きと表現されることに繋がっているんじゃないかなと感じました」と、惜しげもない賛辞を送る。

「お魚って一見表情がないように見られがちなんですけど、お魚の表情とかよく見ていると、あーって大きなあくびをしたり、目を吊り上げて怒ったり、“クリーナー”と呼ばれる、ちっちゃなお魚やエビちゃんに掃除してもらってるときのウツボちゃんやクエちゃんの表情を見ると、ああ気持ちいい! って感じの顔をするんですね。だから、お魚たちの表情っていうのは観察すればするほど、いろんな表情があるんだなあって気づくんですよ」と語るさかなクン。その言葉には、長年魚たちを描き続けてきたさかなクンならではの、魚たちに対する温かい眼差しが感じられた。

「お魚の世界でありながら、親子の絆でしたり、家族の大切さ、そういったものが素晴らしく描かれていて、ジーンとくるシーンもたくさんありましたね」。そうさかなクンが語るように、本作ではドリーが家族を探す冒険の中で自分自身のルーツを知り、自信を取り戻していく姿が感動的に描かれている。ディズニー/ピクサー映画ならではの普遍的なストーリーは本作の大きな魅力のひとつだが、さかなクンは作品の中で“擬人化”された登場人物としての魚だけではなく、あくまで魚として生きる彼らに対しても目線を向ける。「実際にお魚もいろんな経験をして、大人になっていくんです。小さいお魚は釣り針にかかりやすかったりするんですが、大人になるまでにいろんな危険な目に遭ったりするので、大人の魚は釣られないように、成長していくんです。もちろん映画では、魚が擬人化されている部分もあるんですけれど、お魚も家族を大切にしたり、命がけで卵を守ったりするんですね」。

2010年には、絶滅したとされていた「クニマス」の再発見を実現させるなど、会いたいという気持ちを実際に大好きな魚たちとの出会いに結びつけてきたさかなクン。最近では、「東京スカパラダイスオーケストラ」とのコラボレーションや、映画『フォーカス』の企画でウィル・スミスに扮したりと、そのキャラクター性から領域をまたいで様々な活躍ぶりを見せているさかなクンに、今後の目標について聞いてみた。すると、やっぱり頭に浮かぶのは魚のことばかり。まるでその日が実現したかのような笑顔を浮かべ、さかなクンは語った。「誰も見たことのないお魚に会ってみたいなあというのは、すギョく前から思ってる夢なんです。ギョギョ! なんだこのお魚は! って、そんなお魚に会えたらいいなあと思っています」。

最終更新:7月20日(水)20時0分

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