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車載Linuxの開発が軌道に乗るもトヨタ自動車は「まだ満足してない」

MONOist 7月20日(水)8時25分配信

 Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」の開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2016」が、2016年7月13~14日にかけて東京都内で開催された(主催:The Linux Foundation)。

【「AGL UCB」における開発体制一本化のイメージなどその他の画像】

 1日目の基調講演に登壇した、トヨタ自動車 コネクティッド統括部 BRコネクティッド戦略企画グループ長の村田賢一氏は「AGLの活動はうまくいっているが、これで満足していない」と語り、AGLの活動をビジネスにつなげるための新たな方策について提案した。

●2011年7月からLinux活動に参加

 村田氏の講演タイトルは「AGL Spec, UCB, and What is next?」。前回の「Automotive Linux Summit 2015」でも講演した同氏は、AGL、「Tizen IVI」、「GENIVI」という3つの組織に分散している開発体制の一本化を提案した(関連記事:車載Linux開発に注力するトヨタ、課題解決に向け開発体制の一本化を提案)。この提案を形にしたのが、2016年1月に発表された、ユニファイドコードベース(UCB)と呼ぶ新たなディストリビューション「AGL UCB」である(関連記事:車載Linuxのオープンソース活動はアップルとグーグルへの対抗軸に成り得るか)。

 AGL UCBは2016年1月発表のバージョン1.0から、今回のAutomotive Linux Summit 2016に合わせてバージョン2.0を発表するなど、開発が軌道に乗ったかのように見える。村田氏も、今回の基調講演の冒頭で「UCBをコンセプトとしたAGLの活動はうまくいっている」と語る。

 しかし、続けて投げかけたのが「せっかくできたAGL UCBから、何がもらえるのか。実ビジネスにつなげるにはどうすればいいのかが課題だ」(村田氏)という言葉だ。AGL UCBのコンセプトでは、車載情報機器などに用いられるソフトウェアのうち非競争領域に当たる70~80%をオープンソースプロジェクトであるAGLで策定することになる。これにより、自動車メーカーやティア1サプライヤの開発負担は大幅に削減できるはずだ。

●高級車と大衆車で分けてハードウェアアーキテクチャの策定へ

 村田氏の先の言葉は、残りの20~30%の開発に要する期間を圧縮するためのものだ。同氏は「まずは、AGL UCBから必要なもの不要なものを選別しなければならない。そして最終製品に合わせたコード修正や独自のHMI、ソフトウェアの開発も必要だ。特に、セキュリティについては、車両からクラウドまでエンドツーエンドでカバーしなければならないので、独自の仕様が求められる。AGL UCBを含めてソフトウェアを実装するティア1サプライヤにとっても、各製品のハードウェアに対応した変更が重要になる」と述べる。この解決策として提示したのが、AGL UCBベースの車載情報機器ソフトウェアを動作させるハードウェアのアーキテクチャに関するリファレンスの作成である。

 現時点でAGL UCBは、動作を保証するSoC(System on Chip)の評価ボードの名前を公開している。バージョン2.0では、バージョン1.0でサポートしたルネサス エレクトロニクスとIntelに加えて、NXP Semiconductors、Texas Instruments、Qualcomm、「Raspberry Pi」が加わった。村田氏の言う、ハードウェアアーキテクチャのリファレンスは、センサーや周辺部品、インタフェースなど、SoCの評価ボードよりもさらに広い範囲で、AGL UCBに適したハードウェアのアーキテクチャを定義しようというものだ。

 このハードウェアアーキテクチャのリファレンスについては、AGLに参画する自動車メーカー(2016年7月時点で、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、富士重工業、マツダ、三菱自動車、Jaguar Land Rover、Ford Motorの8社)によるハードウェアシステムEG(エキスパートグループ)で議論を進める。高級車とコストが厳しい大衆車向けの2種類に分けてアーキテクチャを定義し、2016年末までに発表する予定だ。その後、同EGへのティア1サプライヤや半導体メーカーなどの参加を募るとしている。

最終更新:7月20日(水)11時54分

MONOist

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