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放送とネットをつなげる新しいラジオ「Hint」、ニッポン放送などが開発

ITmedia LifeStyle 7月20日(水)16時45分配信

 ニッポン放送とcerevo、グッドスマイルカンパニーは7月20日、全く新しい形のラジオ「Hint」(ヒント)を発表した。近未来的なデザインに加え、ラジオ放送を受けてスマートフォンにURLを配信する新しい仕組みを備えた。同日よりクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でサポーターの募集を開始している。サポートプランは2万1500円(税込から)。

スマートフォンに配信されたURLのイメージ

 「カッコいいラジオが欲しい」という思いでニッポン放送のアナウンサー、吉田尚記氏が立ち上げたプロジェクト。製品コンセプトは製品名の由来にもなっている「気配」(Hint)だ。「ラジオの魅力は、寂しさを消してくれるが、過剰に干渉しないところ。寂しくはないが、煩わしくもない。人の気配を伝えるラジオにしたかった」(吉田氏)

 そのコンセプトを形にしたのが、フィギュアメーカーとして知られるグッドスマイルカンパニーとデザイナーのメチクロ氏だ。ハードウェアの仕様設計や試作機の開発はcerevoが手がけた。cerevoの岩佐琢磨社長は、「最初は『なぜ今ラジオ?』と思ったが、cerevoは“昔からあるもの”を最新技術でガラッと変えることにも取り組んでいる。“古き”があるからこそできるイノベーションだ」と話している。

●BluetoothスピーカーにもなるFMラジオ

 HintはワイドFM(FM補完放送)対応のFMラジオであり、Bluetooth 4.2経由でスマートフォンの楽曲を再生するBluetoothスピーカーでもある。さらにPodcastや各種ストリーミングサービス、radikoプレミアムにも対応する予定。スイッチオンですぐに音が出る起動の速さも特徴だ。

 「外観からラジオだと分かる人はいないと思う」(吉田氏)という80(直径)287(高さ)mmの円筒形ボディーは、上向きのフルレンジスピーカーと円すい形のディフューザーを備え、360度に音を広げる無指向性スピーカーになっている。音質については、「Bluetoothスピーカーにもなるのでオーディオも聴けるようにしているが、まずは人の声がしっかり聞こえるようにする。バスレフ式の採用も検討中」(岩佐氏)。本体重量は約950g。電源はリチウムイオン充電池で、連続4~6時間の使用が可能だ。ACアダプターも付属する。

 もう1つの大きな特徴が、ニッポン放送の関連会社であるトーンコネクトのToneconnect(トーンコネクト)技術と米GoogleのEddystone(エディストーン)を組み合わせ、ラジオ放送を介して手元のスマートフォンにURLを配信する機能を持たせたこと。もちろんラジオとしては初の試みだ。

 トーンコネクトの代表取締役CMOを兼任している吉田氏は、「放送局から電話のダイヤル音(DTMF音)を音声として送信する。“ピポパポ”という音を受信するとHintのLED発光が変化するとともにBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンが書き換わり、近くのスマホにURLをBluetoothで自動転送する」と説明する。

 DTMF音を受けたHintは、近く(5~10m)にあるスマホにURLを一斉配信するため、視聴者はワンタッチで目的のWebサイトにアクセス可能。ペアリングのいらないBLEビーコンならではの使い方だ。

 この仕組みを利用すると、例えば「スタジオに可愛い娘が来たとき、写真をインスタグラムに上げてリスナーにURLを配信する。あるいは番組で紹介した飲食店の地図情報を配信する。地元のお店のクーポンがスマホに届くといった使い方もできる」(吉田氏)。ほかにもアーティストの楽曲紹介でiTunesの販売ページへダイレクトに誘導したり、ラジオショッピングでECサイトの決済ページのURLを配信して「電話をかける」行為を不要にするなど、多くの使い方が考えられるという。

 またEddystoneは、今後Androidの標準機能になる予定。iPhoneでも「Google Chrome」が入っていれば利用できるため、誰でも専用アプリのインストールなど必要なく使える点もポイントだ。

 「ラジオ局にとって、URLを配信できるメリットは計り知れない。しかも世界標準技術なので世界中で使える。規格乱立を防ぐためにIPはトーンコネクトが持つが、そこで大きく儲けるつもりはなく、技術は他の企業にも提供する。ほかのメーカーから対応製品が出てきたり、ほかのラジオ局が対応する番組を放送する可能性もあるだろう」(吉田氏)。なお、ニッポン放送では「将来的にこの機能を利用した放送を予定、検討している」としている。

●ラジオ局ならではのユニークなリターン

 「CAMPFIRE」によるサポーター募集は同日スタートした。目標支援金額は1100万円で、クリアできれば量産に取りかかる予定。支援者には「遅くとも年内にはお手元に届くようにしたい」と生産を担当するcerevoの岩佐氏は話している。

 支援者へのリターンはラジオ局ならではのユニークなもの。初回限定カラーの「シャンパンゴールド」を用意するほか、ニッポン放送のスタッフがミニ・ラジオ番組を作って音源をプレゼントしたり(放送はしない)、ニッポン放送スタジオへの見学会参加権、HintのスポットCMに声で出演する権利(実際にオンエア予定)など、さまざまな特典を用意した。クラウドファンディングによる支援受付は9月20日まで。

 「ラジオというメディアを1から見つめ直し、できあがったラジオ。斬新なデザインと、ラジオに新しい価値を与える新機能を持っている。新しいラジオの形がここにある」

最終更新:7月20日(水)16時45分

ITmedia LifeStyle