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人工衛星の「甲子園」に挑む青春 強豪高校の打ち上げ実験に密着

高校生新聞オンライン 7月20日(水)9時0分配信

 空き缶サイズの模擬人工衛星(缶サット)を自作し、ロケットで飛ばすことで技術力や独創性を高校生が競う全国大会「缶サット甲子園」が8月18日に秋田市で開かれる。2008年の第1回大会から唯一連続出場しているのが和歌山・桐蔭高校科学部の缶サット班だ。近畿地区の高校が参加して7月10日に開かれた地方大会で優勝し、今年も全国大会に挑む。6年ぶりの日本一を目指して奮闘する、打ち上げ実験の現場を訪ねた。(文・写真 白井邦彦)

実験は年10回ほど、毎回が真剣勝負

 「缶サット甲子園」全国大会に先立ち開かれる地方大会を前にしたある土曜日。工業用地「コスモパーク加太」の敷地内にある実験場に缶サット班のメンバーが集合した。ロケット打ち上げには火薬燃料の費用がかかり、実験は年10回程度。1回1回が真剣勝負だ。

 この日、最初にロケットを打ち上げたのは午前11時。約2時間かけて入念に準備したが、失敗。部員たちは、曇った表情で焦げたロケットと缶サットを回収した。

 競技の奥は深い。ロケットで打ち上げられ、上空約80メートルで切り離された缶サットはパラシュートでゆっくりと地上へ落ちる。その間に高度や気圧など、さまざまなデータを収集するミッションを自分たちで設定する。大会では、データの解析やミッションの目的などのプレゼンテーションも課される。

 ロケットが最高到達点まで上がるのに3秒、缶サットが地上に落下するまでに10~20秒ほど。この短い時間のために、膨大な準備期間を費やし、知恵を絞り尽くす。それだけに失敗した時の落胆は大きい。半面、成功時はそれまでの苦労が消し飛ぶほどの歓喜が待つ。

データ取得成功、拍手

 実験の失敗は、エンジンマウントに火薬装置がしっかり固定されておらず、ロケット本体が噴射の炎で一部、焦げてしまったのが原因だった。直ちに改良に取り掛かった。

 2時間後、ロケットを改良して2回目の実験が行われた。今度は見事にロケットから缶サットが放出。赤オレンジ色のパラシュートが大空に花を咲かせ、ゆらゆらと地上に落下した。落下地点に行った部員が、トランシーバーで「成功!」と興奮した声で伝える。プログラマーの加納大成君(2年)は「データもしっかり取れている。問題なし!」と報告。その瞬間、広い実験場に拍手がこだました。

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最終更新:7月20日(水)9時0分

高校生新聞オンライン

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