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直木賞に荻原さん「海の見える理髪店」受賞 旧大宮市出身、大宮高卒

埼玉新聞 7月20日(水)6時1分配信

 第155回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、都内で開かれ、埼玉県の旧大宮市出身(現さいたま市大宮区)の荻原浩さん(60)=県立大宮高校卒業=の小説「海の見える理髪店」(集英社)が直木賞に決まった。同賞は5回目の候補で受賞となった。受賞後の会見で荻原さんは「ほっとしている。肩の荷が下りた感じ。東京に住んでいる期間が長いけど、(高校野球の)甲子園は埼玉のチームを応援する。故郷からは一生離れられない」と語った。

 荻原さんは1956年生まれ。旧大宮市に生まれ、県立大宮高校、成城大を卒業後、広告制作会社に勤務。20代半ばから都内在住。35歳で独立し、フリーのコピーライターに。

 97年に「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞し、41歳で小説家デビュー。2004年の「明日の記憶」で山本周五郎賞。14年の「二千七百の夏と冬」で山田風太郎賞。10年の「砂の王国」など過去4度直木賞候補に。

 受賞作「海の見える理髪店」は母娘、夫妻、父子などままならない家族の関係性を描いた六つの短編を収めた小説集。深みのある人物造形と巧みなプロットで、時に温かく、時に切なく、多彩なドラマが描かれてる。

 表題「海の~」は小さな海辺の町にある床屋を訪れた「僕」と店主の物語。店主は理髪中、ある事情で生き別れた息子の「僕」に半生を語る。あくまでも店主と客の関係を崩さない二人のやりとりが切ない。「成人式」は娘を事故で亡くした夫婦が娘の代役で成人式に出席しようと奮闘する話だ。

 荻原さんは「あえて言えば『人間と時間』が今回のテーマ。女性、男性、年齢がバラバラの主人公を登場させ、違った切り口で書いた。言葉だけでなく、リズムや語感も大切。目で見るだけでなく、耳や鼻で感じる匂いまでも小説を書くときに心掛けている」と話している。

 直木賞選考委員の宮部みゆきさんは「圧倒的な読み心地の良さがあり、一つ一つが心に残る短編集だ」と評価した。

 贈呈式は8月下旬に行われ、賞金は100万円。

最終更新:7月20日(水)6時1分

埼玉新聞