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保険手数料の開示、地銀が反対の裏にマイナス金利

ニュースソクラ 7月20日(水)12時0分配信

大手銀は手数料を開示へ ぼろもうけに歯止めかかるか

 銀行の窓口で販売される貯蓄性の高い保険商品について、銀行が保険会社から受け取る手数料を大手銀行5グループが来年初めにも公表する方向となった。

 商品の透明性が高まり、手数料引き下げにつながる可能性があるので、消費者には朗報といえる。金融庁が今年に入って、「銀行が手数料稼ぎのため消費者に不要な可能性のあるリスクの高い保険商品を押しつける『温床』になる」と判断、保険会社に開示の具体的方法を検討するよう求め、銀行に協力を促していた。

 手数料開示をめぐっては、金融庁の要請を受けた生命保険協会の筒井義信会長(日本生命保険社長)が4月の記者会見で「(手数料を)開示する方向で検討する」と表明し、10月の開示スタートに向けて金融界が動き出していた。

 ところが、地銀が春から初夏にかけて「開示対象が銀行や証券会社に限られ、保険代理店などが含まれない」と反対運動を展開したため、金融庁は5月下旬を想定していた開示のための監督指針改正案の公表を凍結していったん先送り。6月から幅広い手数料開示のあり方の議論を金融審議会で始めた。

 地銀を反対に走らせたのは、表向きの理由とは別に、2月の日銀によるマイナス金利政策導入だ。貸し出し金利が下がって「利ざや」が縮むなか、地銀が保険の窓販を新たな収益源と期待しているという事情がある。しかし、金融庁の意を受けた三菱東京UFJ銀行などの大手銀が自主的に開示に踏み切ることで、事態は大きく動きそうだ。

 手数料開示になれば、販売競争に勝つために手数料を下げなければならなくなる。こうした「消費者のメリット」という錦の御旗を突きつけられれば、「地銀もいつまでも反対していられないだろう」(日銀関係者)とみられている。

 実際の手数料の実態はどうなっているのだろうか。まず、手数料の開示対象は、運用成果や為替相場によって受取額が変わる「変額年金保険」や「外貨建て保険」で、銀行や証券会社などの窓口で販売されている商品だ。同じ保険でも、一家の大黒柱の死亡時に遺族が受け取る生命保険や、入院時の費用などを補う医療保険と違って、富裕層が遊んでいるお金を資産運用に回す貯蓄性の高い商品だ。21世紀に入って銀行窓口での販売が解禁され、取り扱い額は年を追うごとに右肩上がりに増えている。元本割れのリスクはあるものの、低金利下で比較的高いリターンの得られる金融商品として人気を呼んでいる。

 ただ、販売を委託する保険会社が支払う手数料の原資は、当然ながら消費者が支払う保険料。手数料は一般的に保険料の5~7%程度とされ、10%近い商品もあるという。つまり、1000万円を預ける商品なら、最大で100万円近くが消費者の知らぬ間に銀行の懐に入る可能性があり、銀行にとっては「オイシイ」商品というわけだ。

 ちなみに、銀行の窓口で販売されている投資信託は10年ほど前から手数料が開示されており、現在は1~3%程度となっている。販売が解禁された1990年代に比べれば、手数料は低下したとされている。こうした投資信託と比べて貯蓄性の高い保険商品の手数料はどう違うか――などの実態は消費者に知らされていない。

 さらに、貯蓄性の高い保険商品は販売時の手数料に加え、一定の販売目標を達成した場合の報酬も存在する。銀行が収益をあげるため、よりもうかる貯蓄性の高い保険商品の販売に走っても不思議ではなく、その際、消費者に必要のない商品が結果的に押しつけられている可能性がある――というのが金融庁の見立てだ。

 地銀の抵抗はそれとして、大手銀はなぜ金融庁の要請を受け入れたのか。それは、収益構造の違いだ。大手銀は米国や東南アジアといった海外でも収益をあげられる体制にシフトしているのに対し、一国一城の主として地元に君臨してきた地銀は他県に多少越境することはあっても基本的に自らのテリトリーで商売するしかないのが実情。

 低金利のもと、本業の貸し出しによる収益は頭打ちで、有力な手数料ビジネスである投資信託の販売も提案力のある大手銀や証券会社にはかなわない。そういうなかで変額年金保険などが収益を一定程度支えているだけに、手数料引き下げを招きかねない手数料開示に抵抗してきたというわけだ。

 いったん引っ込めた金融庁だが、地銀が表向き掲げた反対理由、「保険ショップ(保険代理店)が開示対象ではないのは不公平」という点について、5月末の改正保険業法施行により、一定規模以上になれば手数料の開示が求められることにするなど、環境整備を進めつつ、大手銀を説得。外堀を埋められた地銀は大手銀に追随するしかなさそうだ。

 手数料開示によって地銀が結果的に収益源をしぼられることは、金融庁の描く地銀の再編を推し進める方向に働く可能性もある。

ニュースソクラ編集部

最終更新:7月20日(水)12時0分

ニュースソクラ

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