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発見から25年、夢の材料「カーボンナノチューブ」見えてきた産業応用

ニュースイッチ 7月20日(水)8時20分配信

材料を育ててくれる用途を見つけられるか、この2-3年が正念場

 「カーボンナノチューブ」(CNT)は、直径が数ナノメートル(ナノは10億分の1)と微細な筒状の炭素分子。1991年の飯島澄男名城大学教授(当時NEC主席研究員)による発見から25年が経過し、産業応用へ大きな節目を迎えている。

 高品質なCNTの量産が始まって安定供給が保証されたため、電子部品などのメーカーがCNTを使った製品を開発できるようになった。電子部品など最終製品として市場競争に勝てる商品に仕上げる技術開発が今後、本格化する。

 理想的な単層CNTは、比重がアルミの半分で強度は鉄鋼の20倍、電子移動度はシリコンの約10倍。流せる電流量は銅の1000倍、熱伝導性も銅の5倍以上と画期的な性質を持つ。素材としての魅力は大きく、幅広い産業で実用化が試されてきた。

 当初は薄型ディスプレーや医療への応用に期待が集まり、関連企業がCNT研究に投資した。これがCNTの物性研究や合成法などの基礎研究を支えた。欧米や中国では投資家から資金を集め、CNTの量産に挑戦したベンチャー(VB)は少なくない。飯島教授は「実はCNTを作るだけなら高校生でも可能だ」と指摘する。

 ただ、半導体産業の求める品質や、自動車産業の求めるコストで作るとなると話は別だ。実際に応用CNT製品の開発に着手すると材料コストや安全検証コストがネックとなってきた。薄型ディスプレーは液晶ディスプレーの価格下落で開発が下火となった。多くのVBが廃業したことなども背景にあり、現在もCNTの用途開発が続いている。

 飯島教授は「大学の研究者はデバイスを作れば論文になる。世界の一流科学雑誌の表紙を飾り、脚光を浴びることも可能だが、事業化は別だ。量産できるのか、採算は合うのかと問われ、応えられる研究者は大学にはいない」と説明する。

<NEDOが背中を押す開発プロジェクト>

 材料研究者の成果を実用化するには、材料メーカーの製造プロセスのノウハウと、最終製品の設計ノウハウが必要だった。そこで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はCNTの基礎研究者と材料メーカー、最終製品メーカーを巻き込んだ開発プロジェクトを進めている。

 現在は樹脂複合材料や電子部品などの企業が、実用化の推進役になっている。日本ゼオンは材料メーカーとして製造ノウハウを提供し、産業技術総合研究所が開発した合成技術を工場での量産プロセスとして確立した。並行して樹脂とCNTの複合材を開発し、高機能複合材として商品化を進めている。

 日信工業は耐熱性ゴムを開発。日本ケミコンはCNTの表面積の大きさを利用した大容量キャパシターを開発している。NEDO材料・ナノテクノロジー部の小久保研主査は「16年度はCNTの応用製品を開発するための基盤技術を発表できる。17年度にはCNTを使った中間部材製品の供給を始める。その後、CNT応用製品が世に出ていく予定だ」と説明する。

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最終更新:7月20日(水)8時20分

ニュースイッチ