ここから本文です

藤沢市職員、給食費6千万円着服 市は告訴へ

カナロコ by 神奈川新聞 7月20日(水)6時38分配信

 藤沢市は19日、市教育委員会学校給食課の女性職員(61)が各家庭から集めた給食費から少なくとも約6470万円を着服していたと発表した。職員は着服と返済を繰り返しており、着服の累計総額はさらに膨らむとみられる。市は職員を業務上横領容疑などで刑事告訴する方針。

 市教委によると、着服があったのは2011年から15年3月末まで。同市では一部の食材について、市立小学校長などで組織する学校給食会を通じて一括購入しており、女性職員はその事務をほぼ1人で担当。通常は給食会と納入業者の口座間の送金で済むところを、わざわざ現金を引き出して一部を着服する手口を繰り返していた。

 女性職員の事務に関して課内で監査が行われたことはなく、市教委は「これは本当に問題があった」と述べた。

 今月7日、業者から納入代金の約6470万円が未納になっていると市に連絡があり発覚。市教委の調査に着服を認めた女性職員は「東日本大震災直後に給食への放射能の影響を問い合わせる電話が相次ぎ、疲弊してやってしまった。飲食費や服飾費、旅行費、住宅ローンの返済に使った」と話しているという。

 学校給食費は15年4月から公会計制度に移行し、職員が直接現金を扱うことがなくなった。いわゆる“自転車操業”が難しくなり、支払いに苦慮した女性職員は、未払い金の存在を示す証明書を3度にわたって偽造、業者に手渡して支払いの猶予を依頼していた。

 女性職員は09年度から給食会の会計事務を担当。着服当時は課長補佐で、15年4月に再任用されていた。

【藤沢市職員の着服事案】

◆2015年6月
 職員:スポーツ推進課男性職員31歳
 金額:207万円
 内容:13~14年度にかけスポーツ施設の使用料関連の公金を着服。15年度にもスポーツ少年団の登録料や職場の親睦会費などを着服
◆2016年4月
 職員:生活援護課男性課長補佐44歳
 金額:465万円
 内容:14年5月から16年3月まで、実在する受給世帯の名前を勝手に使って生活保護費を架空申請し着服
◆2016年7月
 職員:学校給食課女性職員61歳
 金額:6470万円
 内容:自らが管理する学校給食会の口座から給食費を不正に引き出し、一部を着服

■1年余りで3件 「危機的な状況」

 藤沢市で職員による公金・準公金の着服事件がまた明るみに出た。2015年6月以降で3件に上り、鈴木恒夫市長は「度重なる不祥事で市政への信頼が著しく失墜する危機的な状況」と会見で陳謝。自身も含めて関係者の処分を検討する考えを明らかにした。

 同市では、男性職員がスポーツ施設の使用料に絡む公金など約207万円を着服した事案が15年6月に発覚。今年4月にも、男性課長補佐が生活保護費465万円を着服していた事案が判明している。

 特に生活保護費の件を受け、市は全庁的に不正の有無の調査を実施。しかし、今回の学校給食費の案件が調査の網に掛かることはなく、納入業者からの連絡で発覚した事実に、市幹部も「内部の検証態勢を含め、自浄能力に問題があった」と認めた。

 今回は被害額が突出している上、市民から直接徴収している準公金でもある。吉田早苗教育長は「給食行政そのものの信頼を損なう行為」と述べ、給食費の徴収業務に影響が出ることへの危惧をにじませた。

 12年の就任以来、市職員の法令順守の条例を制定するなど市民に信頼される市政運営を掲げてきた鈴木市長は「できることはやってきたつもりだが、また起こってしまった。誠に重大に受け止めている」と苦渋の表情を浮かべた。

最終更新:7月20日(水)6時38分

カナロコ by 神奈川新聞