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【コラム】9mmの楽曲の「短さ」について改めて考えるーー怒涛の90秒シングル“インフェルノ”を聴いて

RO69(アールオーロック) 7月20日(水)19時30分配信

一時は心配された滝の容態も「とりあえずひと安心」とのことなので(詳細はこちら http://ro69.jp/news/detail/145725)、ここでは心置きなくニューシングル『インフェルノ』の話をしたいと思う。

“インフェルノ”ミュージックビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=8DizBlRFMD4

すでに「90秒シングル」として注目を集めている表題曲“インフェルノ”。TVアニメ『ベルセルク』のオープニング曲としてオンエアされているのを観て、衝動の爆風の如くすべてを焼き尽くして一瞬で過ぎ去っていく展開に、驚愕し感激した人も多いはずだ。
2008年にTVアニメ『RD 潜脳調査室』のオープニング曲として“Wanderland”を書き下ろした時にも、オンエア枠に合わせて70秒の曲を書こうとトライしたこともある(実際の尺は約2分半だった)滝の「リベンジ」(?)が見事に成就した曲でもある。

「ヘビーメタル/ロックンロール/ハードコアといった多彩なロックのテクスチャーのみならず、曲によっては歌謡/ラテンなど非ロック的な色合いも濃密に感じさせる音楽性」といった具合に、9mmのサウンドについてはその多様性について言及されることが多い。
が、ここで改めて触れておきたいのは、そのドラマチックな音楽性とは裏腹の、9mm曲の「短さ」についてだ。

9mmの曲は短い。
もちろん、ファストコア系をはじめ0分台・1分台の曲を量産しているバンドも少なからずいるが、日本ロック界屈指のドラマチックなロックスペクタクル的音像を、2分台・3分台のコンパクトな尺に凝縮させ続けているケースは極めて稀だ。

iTunesでトラックリスト化してみれば一目瞭然だが、9mmの楽曲で4分以上の尺を持っているのは、現時点でリリースされている約100曲のうちわずか14曲。特に、インディーズ時代のミニアルバム2作品:『Gjallarhorn』『Phantomime』、メジャーデビュー直後の1stフルアルバム『Termination』には、4分超えのトラックはひとつもない(“The World”はEP収録時は4分超えだったが、アルバムバージョンは3分51秒)。
現時点で9mmの一番長い楽曲“Faust”(2ndフルアルバム『VAMPIRE』収録、5分18秒)のレコーディングの際には「4分超えたら解散だ!」的な冗談がバンド内で飛び交っていた、という話を当時の取材でメンバーが明かしてくれた。9mmの楽曲の「短さ」が決して偶然の産物ではないことを象徴するエピソードだ。

そのバラエティに富んだアレンジと、その演奏スキルが生む再現性の高さゆえに、9mmの音楽は「何でもあり」なものとして認識され、ジャンルの枠に囚われない支持を獲得している。
が、9mmのロックのダイナミズムを生んでいるのはその「何でもあり」な音楽の幅広さよりもむしろ、ルールも様式美もかなぐり捨ててロックの爆発力と突破力に懸ける、性急で獰猛なエモーションそのものである――ということが、「90秒の衝撃」と呼ぶべき今回の“インフェルノ”を聴くとよくわかる。

“インフェルノ”は「『アニメの放送枠に収まる楽曲を作る』というエクストリームな実験に成功しているからすごい」のではない。前置きも余韻も取っ払って、己の身を焦がすほどの情熱をもって90秒で駆け抜ける怒濤のロマンと加速感にこそ“インフェルノ”の本質はある。
《運命を喰いやぶれ いくらでも悪あがけ/終わりのない夜を越えて 命を燃やし尽くせ》――9mm魂の高純度結晶と言うべき凄味を体感できる1曲であることは間違いない。(高橋智樹)


なお、RO69では『インフェルノ』がいかにして生まれたのか、菅原卓郎(Vo・G)、かみじょうちひろ(Dr)にインタビューを行いました。是非ご覧ください。

【特集】9mm Parabellum Bullet 90秒完結の新曲“インフェルノ”の真相を語る!
http://ro69.jp/feat/9mm_parabellum_bullet_201607/page:1

RO69(アールオーロック)

最終更新:7月20日(水)19時30分

RO69(アールオーロック)