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シカの農作物被害5千万円超え 和歌山県

紀伊民報 7月20日(水)16時45分配信

 2015年度のニホンジカによる和歌山県内農作物被害は、前年度比2割以上多い5500万円で、初めて5千万円を超えた。生息数の増加が一因で、県は「効率的に捕獲数を増やすほか、畑を守る防護柵など総合的に対策を進めたい」としている。

 県が19日に発表した。シカによる被害額は08年度までは3千万円台以下だったが、09年度からほぼ毎年、4千万円を超え、10年度は4800万円に達した。その後、減少傾向で14年度は4500万円まで減っていたが、15年度は1千万円も増えた。

 被害拡大の一因は生息数の増加。県が3月に過去の県内生息数を推定したところ、13年4万8千匹、14年5万1千匹、15年5万4千匹と増えている。

 狩猟者の印象や捕獲数などから、特に田辺・西牟婁や橋本・伊都で生息数が増えていると推測できるといい、実際にこれらの地域で被害額の増加が目立っている。

 市町村別の被害額は田辺市(1200万円)が突出して多かった。次いで広川町(500万円)、有田川町(440万円)、高野町(410万円)と続く。

 県によると、生息数を減らすには年間1万6千匹以上の捕獲が必要という。捕獲数は年々増やしているが、それでも14年度は1万517匹。そこで県は15年度、全国で初めて、シカの「夜間銃猟」を開始。本年度は実施場所を増やし、期間を延ばすなどする。遠隔操作ができるわなの設置も進めているほか、防護柵設置に補助金を出すなど、さまざまな対策を講じている。

 県鳥獣害対策室は「生息数を減少に転じさせるため、効率的な捕獲を進めたい。また、栄養状態が良ければ出産率が高くなる。農作物がある畑に入らせないよう防護柵を設置することも合わせ、総合的に対策をしていきたい」と話している。

■野生鳥獣全体で3億4300万円

 シカを含む野生鳥獣全体による15年度県内農作物被害は、前年度より2200万円増の3億4300万円だった。半分はイノシシによるもので1億7千万円だった。

 シカ以外では、イノシシが前年度より微増。アライグマ(3300万円)も増えたが、サルは微減で5千万円だった。

 イノシシの被害は紀の川市の3600万円、海南市2200万円など紀北に多い傾向だが、田辺市でも590万円、上富田町で260万円などの被害がある。

 前年度と比較すると、ほとんどの自治体で減少したが、九度山町で710万円増、海南市で280万円増、田辺市で120万円増になるなど、一部で大きく増加している。

 サルは、田辺市が飛び抜けて多く1500万円。次いで日高町670万円、日高川町590万円、由良町540万円と紀中地方でも目立つ。アライグマは減った自治体が多いが、橋本・伊都で増えていて、被害も集中している。

 被害を受けた作物は果樹が76%を占め、野菜は12%、水稲は8%だった。

最終更新:7月20日(水)16時59分

紀伊民報