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「音楽に政治を持ち込むな」論争に漂う不毛感 「だったらEXILEは?」欠けていた体制側という視点

withnews 7月21日(木)7時0分配信

 いよいよ始まるフジロック。「SEALDs」奥田愛基さんの参戦で盛り上がった「音楽に政治を持ち込むな」論争について、「そんなやりとりは非生産的だよ」と気鋭のポピュラー音楽研究者は待ったをかけます。なぜなら「音楽こそ政治」だからです。「だったらエグザイルの存在は?」「学校で合唱することも政治?」。大阪市立大学の増田聡准教授(ポピュラー音楽研究)が一連の騒動をクリアカットに読み解きます。

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「反体制的」とは限らない音楽

――国内最大の野外ロックイベント「フジロックフェスティバル」に、奥田さんの出演が決まると、「音楽に政治をもちこむな」という言葉がネット上にあふれました。

 「これは『政治を持ち込むな』ではなく、ロックフェスのプログラムに左派的な政治主張を持ち込むなという反応ですよね。それがこういったスローガンに言い換えられて共感を呼んでいるのが興味深い。音楽と政治を区分し、異なる領域に位置付けたい欲望が社会に広がっているんでしょうね」

 「でもそれについての私のスタンスはすごいシンプルで、『音楽とは本質的に政治的なもの』ということになります。『音楽に政治を持ち込むな』というのは、『線路に電車を持ち込むな』と同じくらい無意味な主張と感じられます」


――それはロック、引いてはポピュラー音楽が、元来、反骨精神を内包し、反体制、反商業主義的な歴史を持っていて……という論ですか?

 「反商業主義や反体制的であることがイコール政治的、ということではありません。音楽は本質的に〈政治的〉なのですが、本質的に〈反体制的〉なのではない。体制に異論を唱える主張ばかりを『政治的』とみなして区別する見方がそもそも偏っているのです」


――体制に協力する音楽の存在が欠けていると

 「今回メディアは、ロックの反体制的歴史をことさら取り上げ、『だから音楽に政治を持ち込め』と結んでいた。そのような議論に欠けているのは、体制順応的な音楽もまた政治的なものであるという認識です。政府のイベントに協力するエグザイルだって極めて政治的ではないですか」

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最終更新:7月21日(木)7時0分

withnews