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クーデター“自作自演”説も ギュレン派粛清を加速するエルドアン大統領

THE PAGE 7月21日(木)12時40分配信

 トルコで現地時間15日の夜に突如発生したクーデター。翌日にはクーデター部隊の兵士らも次々と投降し、エルドアン政権はクーデターの失敗を早々に発表した。それから数日の間に、トルコではクーデターの背後にいるとされる「ギュレン派」に対する粛清が猛スピードで進められている。宗教指導者ギュレン氏の引き渡しをめぐって、アメリカとの関係悪化も懸念されるなか、トルコは国家として大きな転換期を迎えたようだ。

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兵士急襲の20分前に大統領はホテル離れる

 クーデターがどのように進められたのか。複数のメディアによる報道や、政権関係者の話から、詳細が少しずつ明らかになってきた。

 現地時間の7月15日午後10時過ぎ、首都アンカラの北西部にあるアキンチ空軍基地から複数のF16戦闘機が離陸した(最大で6機とされる)。アキンチ空軍基地は反乱部隊の戦略拠点として使われていたとトルコメディアは報じており、前空軍司令官のアキン・オズトゥルク氏はクーデターの首謀者として後に身柄を拘束されるが、本人は現在もクーデターへの関与を否定している。

 トルコ人軍事ジャーナリストのアルダ・メヴルトグル氏がまとめた情報によると、アキンチ空軍基地から離陸したF16戦闘機は、近隣の陸軍基地から離陸したヘリコプターの支援を受け、アンカラ市内で低空飛行を繰り返した。アンカラ郊外にあるトルコ警察特殊部隊本部ではF16による爆撃で少なくとも47人の警察官が死亡した。また、アンカラ周辺にある複数の警察関係の建物や情報機関の本部ビルは、ヘリコプターによる機銃掃射のターゲットとなった。ヘリコプターからの機銃掃射は民間人に対しても行われた。

 同じ頃、トルコ南部にあるインジルリク空軍基地から複数の給油機が飛び立ったという報道もあった。これらの給油機はクーデター部隊を支援するために離陸したと思われるが、メヴルトグル氏によると、クーデターで使われた戦闘機が実際に空中給油を行ったのかは不明だ。後述するが、シリア国境にも近いインジルリク空軍基地は、米軍とトルコ軍が共同利用している空港で、最近ではイスラム国に対する空爆の前線基地となっている。

 エルドアン大統領は休暇でトルコ南西部のリゾート地マルマリスを訪れていたが、CNNトルコの報道によると、大統領が宿泊するホテルを約25人の兵士を乗せた複数のヘリコプターが急襲。ヘリからロープでホテルに降りた兵士は発砲を繰り返しながら、エルドアン大統領を探したものの、ヘリが到着する約20分前に大統領や側近はホテルを離れていたのだという。

 エルドアン大統領は専用機でマルマリスを離れ、イスタンブールに向かったが、飛行中に2機のF16戦闘機にロックオンされていたという。トルコ政府高官がロイター通信や英ガーディアン紙に語ったところによると、大統領専用機がロックオンされて間もなく、専用機と戦闘機のパイロット同士で無線の交信が行われた。専用機のパイロットは「これはトルコ航空の民間旅客機だ」と主張。大統領専用機に対してミサイルが発射されることはなく、エルドアン大統領を乗せた専用機はそのままイスタンブールに向かったのだという。

 エルドアン大統領が絶妙なタイミングでリゾート地から避難したことや、クーデター未遂によって国内の「ギュレン派」に対する弾圧を行う大義名分が生まれたことなどで、クーデター未遂の恩恵を受けたのは他ならぬエルドアン自身だったという指摘もある。また、今回のクーデター未遂そのものがエルドアンの権力基盤を強固にするための「自作自演」だったという陰謀論も、トルコの国内外で囁かれているが、真相は不明だ。自作自演ではないものの、クーデター計画を事前に知りながら、あえてクーデターを起こさせたのだという見方もある。

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最終更新:7月27日(水)22時46分

THE PAGE